2010年、携帯電話業界の話題をさらったスマートフォン。とはいえ、今なお携帯電話ユーザーの大多数は従来の携帯電話(以下ケータイ)を使い続けており、ユーザーにとってはまだまだこちらが主流だ。そしてこのケータイの世界にも変化が訪れている。特に約4900万もの“ケータイ”ユーザーを抱えるNTTドコモが、この変化の最大の当事者だ。

iアプリのオープンマーケットが出現

 変化を表すNTTドコモの施策の一つがiモード版のドコモマーケットである。iモード端末にスマートフォンの良さを取り込んでいく施策として、NTTドコモの山田隆持代表取締役社長が2010年7月14日、「WIRELESS JAPAN 2010」の基調講演で公表したものだ(報道発表は2010年11月8日)。「ドコモマーケットのiモード版を作り、ドコモのサーバーでアプリケーションを管理、個人もコンテンツを出せるようにする。オープンアプリケーションの環境をiモードでも実現していきたい」と山田社長は語っている。

「全端末をSIMロック解除可能に」、「iモード課金を個人アプリ開発者にも開放」---ドコモ山田社長

 山田社長がいうオープンアプリケーションとはどのようなものか。公表後、その具体的施策が少しずつ明らかになっていく。ドコモマーケット(iモード)は、電子書籍、楽曲、iアプリの3種類のコンテンツを扱うマーケットである。その中で大きく変わるのがiアプリだ。このiアプリがオープン化に向かっているというのだ。

オープン化に向かうiアプリ

課金や高度な機能が個人にも開放された

 そもそもiアプリとは、NTTドコモが提供するiモード端末向けアプリケーションおよびそのサービス名のこと。2001年1月に登場したモバイルアプリの先駆けである。その開発言語はJava。アプリはWebサーバーを使ってネットワーク経由で各端末に配布される。

 NTTドコモはiアプリを開発するためのツールや仕様を公開しており、プログラミングのスキルがあれば、誰でもiアプリを開発することができる。その意味では元々「オープン」とも言えた。ただし、個人開発者がiアプリを開発する際には一部にハードルがあったのも事実だ。例えば課金。いわゆる“公式”にならないとiモード課金が使えなった。また、スマートフォンではおなじみのGPSなどの機能を使ったアプリも個人が自由に開発することはできなかった。

 それがドコモマーケット(iモード)の誕生によって様変わりした。これまで個人に閉ざされていた多くの機能がオープンになったのだ。具体的には、(1)iモード課金の個人開発者への開放、(2)これまで法人開発者に限られていたトラステッドiアプリ(iアプリDX)機能の一部開放、(3)これまで個人が自ら用意する必要があったサーバー環境(ホスティングサービス)の提供――などだ。

 この結果、これまでiPhoneで提供されていた実用系アプリなどがiアプリに移植しやすくなった。実際、ドコモマーケット(iモード)の開設発表を受け、iアプリ開発に新規参入する企業も登場し始めた。タウン情報アプリ「30min.」を開発するサンゼロミニッツもそのうちの1社だ。

iPhoneアプリ開発者が見た“新生”iアプリ