2010年12月14日に総務省ICTタスクフォースが政策決定プラットフォームで基本方針を明らかにし、ひとまず収拾をつけた格好となった「光の道」の議論。ソフトバンクが盛んに「B案」を訴えていることで、一般消費者にも「光の道」という言葉が認識され始めている。2011年には、この「光の道」に向けた施策の“実装”が始まる。

 つまるところどう変わるかと言えば、ブロードバンド環境の整備がさらに進み、ブロードバンドネットワークを使うユーザーも増えるということになる。そこで一番注目を集めそうなのが、下り通信速度が最大数十Mビット/秒のモバイルブロードバンド。NTTドコモが12月24日に「Xi」(クロッシィ)としてスタートしたLTE(Long Term Evolution)や、イー・モバイルのDC-HSDPA、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXなどである。

 「光の道」という言葉から一番連想されやすい光ファイバーのネットワークも、さらに整備が進む。NTTが開発中の光ファイバーの長延化技術などにより、残り10%とされる未整備の地域の多くにも、FTTHのサービスが届くようになる。

 FTTHサービス事業者同士の競争、モバイルブロードバンドとFTTHの競争が激しくなり、ブロードバンドサービスの料金がさらに下がる。少なくとも、「光の道」基本方針に基づいて、こうした事業者競争を加速させる土台が整い、ユーザーの使い方に合うように、一様だったサービスメニューが多様化していく。モバイルとFTTHをセットにした、FMC(Fixed Mobile Convergence)サービスも充実してくる。

いよいよ「使いこなし」のとき

 こうした動きの一方で、2010年に続き、iPhone/iPad、Android搭載のスマートフォンやタブレット型端末、モバイルWi-Fiルーターといった端末の新機種が次々に登場し、ますますユーザーに浸透するはずだ。

 ネットワーク業界に身を置く方々にとっては、どれも、それほど目新しい話ではないだろう。重要なのは、こうした端末の浸透やネットワーク環境の充実そのものではなく、それを背景とした活用技術の進歩だ。

 どんなに高速なブロードバンド環境が整っても、使い道がなければ意味がない。「今さら何を・・・」と思うかもしれないが、これまでのところでは、クラウドコンピューティングやスマートフォンは興味本位、あるいは実験的な採用の域を出ていない場合が多いように思う。

 それでも、高速なモバイル環境の整備、リーズナブルな通信料金、便利な端末といった条件がそろってきたことで、状況は徐々に変わってきそうだ。典型的な例がコラボレーション関連のユーザーの動き。場面によって端末を変え、動画、IP電話、メールなどを使い分ける。テレビ会議/Web会議はもはや当たり前。モバイル環境の充実に伴って、企業からコンシューマーまでビジュアルコミュニケーションが広く使われるようになるだろう。

 TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアも選択肢に入ってくる。今までのところ、ソーシャルメディアの企業利用は、主に顧客サポートやマーケティングといった用途が中心である。ただ、企業をまたいだ個人と個人のつながりが広がっていることは確かであり、既にビジネスするうえで活用しているユーザーも出てきている。