1960 年生まれ、独身フリー・プログラマの生態とは? 日経ソフトウエアの人気連載「フリー・プログラマの華麗な生活」からより抜きの記事をお送りします。2001年上旬の連載開始当初から、現在に至るまでの生活を振り返って、順次公開していく予定です。プログラミングに興味がある人もない人も、フリー・プログラマを目指している人もそうでない人も、“華麗”とはほど遠い、フリー・プログラマの生活をちょっと覗いてみませんか。
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 何のお仕事をされていますか、と聞かれた場合、コンピュータ関連の仕事です、あるいはソフトウエア開発の仕事ですと答えることが多い。しかし、この回答は実を言うと「スポーツ関係の仕事をしています」あるいは「球技関連の仕事をしています」というのに等しいぐらい漠然としている。

 実際にはもっと多様化・細分化されていて、ちょっと守備範囲が違うだけで、下手をすると会話が通じないぐらい異なる。同じコンピュータを扱う仕事なのに、と思われるかもしれないが、それはボールを扱うというだけの理由で、サッカーと野球をひとくくりにするのと同じ感覚である。球技を例に挙げると、ゴルフやバレーボール、ラグビー、そして卓球だってボールを使うじゃないか、と言えるぐらい種類もたくさんある。

 先日、初対面の技術者と話をしていて、認証の話からLDAPの話題になった。そこで相手が「AD」と言ったので、何ですかと聞くと「Active Directory」のことだった。彼が勤務する企業の社内システムは大部分がWindowsベースであったから、その世界では常用しているのだろうが、こちらからすれば「A」と「D」の2文字だけで何の略かを当てるのは至難の業である。

 ましてや技術者たるもの、日常使っていない単語、身に付いていない用語というのはうかつに使うものではないし、知ったかぶりをするものではない。少し会話をすれば相手にわかってしまうのだ。

 古い話になるが、私が20代のころに勤めていた会社では、MS(Microsoft本社)と MSKK(日本法人のマイクロソフト株式会社)、Apple(本社)とAJ(日本法人のアップル・ジャパン)を使い分けるのが当然で、これができない人はもぐりだと言われていた。そのときの流れで知ったかぶりをしても、少し会話を続ければ簡単にばれてしまう。おそろしいことである。

 同じソフトウエア開発の現場でも、ジャンルの違いによって用語が違うということは、当然、文化も違うということである。それはすなわち、開発工程の仕切り方から異なるわけだ。よく知られているような工程管理、つまり、要件定義があって、基本設計、詳細設計、単体設計を経てプログラム作成をし、単体テスト・結合テストを行うといった流れは、最小公倍数としては正しいのかもしれないが、必ずしも特定の現場に当てはまるとは限らない。まず動くものを作って見せて、少しずつ手直しして、場合によっては大幅に方針変更をして、完成に近づけていくというスタイルだってあるのだ。