電源を入れると数秒で起動し、Webへアクセスできるようになる。2011年には、こんなノートPCが身近になりそうだ。米グーグルが12月7日(米国時間)、Web利用に特化した「Chrome OS」を搭載したネットブックの試作機を発表した。米国のベンチャー企業スプラッシュトップも、Chrome OSと同様な特徴を持つ無償OSを一般公開した。ノートPCの起動時間もタブレットPCやスマートフォンに見劣りしなくなる。

 グーグルのChrome OSは、同社のWebブラウザー「Chrome」を基に開発されている、パソコン用OSである。用途はWebアプリケーションに限定。起動するとChromeブラウザーが現れ、即座にWebアプリケーションを利用できる()。

図●米グーグルが発表した「Chrome OS」搭載ネットブックの試作機と、OSの特徴
図●米グーグルが発表した「Chrome OS」搭載ネットブックの試作機と、OSの特徴

 グーグルによれば、同社が公開したChrome OS搭載ネットブックの起動時間は、およそ10秒。「とにかく簡単にWebへアクセスできることを目指した。新しいマシンにOSを導入する作業も、1分未満で終わる」(開発担当のライナス・アプソン副社長)。

 グーグルはChrome OS自体を販売したり一般公開したりしない。搭載機の製品版は、PCメーカーがノートPCなどに組み込んで提供する。台湾のエイサーとアスースが2011年前半に発売するほか、「さらに多くのメーカーが、両社に続く見通しだ」(アプソン副社長)。

 米スプラッシュトップは11月30日(米国時間)、「Splashtop OS」を無償公開した。こちらも数秒で起動し、Webへアクセス可能になる。利用者は同OSをダウンロードして、ノートPCへ導入できる。スプラッシュトップは無償公開する前にも同OSを製品化していたが、これまではヒューレット・パッカード(HP)やレノボなどのメーカーが、自社のPCに組み込む形で提供していた。

 同社は、無償公開版の動作対象機種を、HP製ネットブックなどに限定した。クリフ・ミラー最高戦略責任者は、「2011年初めには、動作可能な機種を増やす。米国メーカーのほか、富士通やNEC製の機種でも動くようにしたい」と話す。

 高速に起動できるOSは、ノートPCのバッテリーを長持ちさせたり、きょう体をより薄くしたりする可能性がある。電源を切った状態からでも即座に使えるのであれば、持ち歩くときもスタンバイ状態にせず電源を切っておけるからだ。容量の小さいバッテリーを使うようにすれば、ノートPCを軽量化できる。