本連載では2010年10月(平成22年度秋期)に実施された基本情報技術者試験の全問題の解答・解説を掲載していきます。第1回目の今回は、試験の概要と本連載の使い方、平成22年度秋期試験の傾向分析などをご紹介しましょう。

基本情報技術者試験とは

 基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験センターが実施する情報処理技術者試験の一つで、「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持ち、実践的な活用能力を身に付けた者」を認定する試験です。コンピュータにかかわる試験はたくさんありますが、唯一の国家試験であり、1969年から実施されている歴史の長い試験です。それだけに知名度も高く、企業からも評価の高い試験と言えます。

 受験機会は、毎年4月(春期)と10月(秋期)の年2回です。試験は、午前試験と午後試験に分かれており、すべてマークシート形式で行われます。

表1●午前試験と午後試験
午 前午 後
9:30~12:00 (150 分)13:00~15:30 (150 分)
多肢選択式(四肢択一)、80問多肢選択式、13問中7問を選択

 午前の問題はすべて必須ですが、午後は13問中7問の選択です。その選択方法と出題範囲は次のようなものです。

表2●午後試験 分野別出題数
◎:必須解答問題 ○:選択解答問題
分野問1~7問8問9~13
ハードウェア○×4  
ソフトウェア  
データベース  
ネットワーク  
情報セキュリティ  
データ構造及びアルゴリズム  
ソフトウェア設計  
ソフトウェア開発  ◎×5(注)
プロジェクトマネージメント  
IT サービスマネージメント  
システム戦略  
経営・関連法規  
出題数715
解答数511
(注)ソフトウェア開発分野からは、C、COBOL、Java、アセンブラ言語、表計算の問題を1問ずつ出題し,その中から1問を選択して解答。

 試験についての詳細は、試験センターのWebページを参照して下さい。

本連載の使い方

 効率良く知識を吸収するには、過去問題を解きながら学ぶのが一番です。実際、午前試験は過去に出題された問題が、繰り返し出題されています。

 私は資格試験の王道は、過去問題の演習だと考えています。理由は3点あります。

問題の質が高い
 どんな模擬試験よりも本試験の問題は質が高いです。あいまいであったり、別解があったりしません。大勢の試験委員が推敲を重ねているからです。

問題の傾向がわかる
 過去問題をたくさん解いていくうちに、出題者の意図が見えてきます。「この試験はこういう知識やこういう思考力を要求しているのだな」という見当がついてくれば、もう合格は目前といえるでしょう。

結果的に実力がつく
 過去問題を解くといっても、答えを丸暗記するのでは効果が薄いです。過去の問題について「なぜこの答えに到達するのか」を論理的に考えることは、未来の問題を解答するための非常に良いトレーニングになります。また正解だけでなく、誤りの選択肢についても学習することにより、より幅広い知識を得られます。

 本連載では、2010年10月(平成22年度秋期)に実施された基本情報技術者試験の全問題の解答・解説を掲載します。全問題を一通り解いて実力診断をしたり、試験前に全問題をおさらいしたりするなど、試験対策としてお使いください。