今、筆者の目の前には、2009年7月に発売された日本初のAndroid端末であるHT-03Aと、同時期に発売されたiPhone 3GSが置いてある。そしてもう1台、今回の記事で取り上げた14機種の1台であるHTC Ariaを置いてある(写真1)。HT-03AとAriaは、どちらもメーカーは台湾HTC社で、ディスプレイは3.2インチのハーフVGA解像度、プロセッサの動作周波数は、HT-03Aが最大528M動作、Ariaが最大600MHz動作と、似通ったスペックの機種だ。

写真1●過去1年半のAndroid端末の進化は大変なものがある。写真左から、2009年7月発売のiPhone 3GS、同じく7月発売のHT-03A、そして今回試用した機種の一つHTC Aria
写真1●過去1年半のAndroid端末の進化は大変なものがある。写真左から、2009年7月発売のiPhone 3GS、同じく7月発売のHT-03A、そして今回試用した機種の一つHTC Aria
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 HT-03は外装の素材もいかにもプラスチックという質感で、今の目で見るとかなり無骨である。バッテリーの持ちは筆者の場合で4時間程度と短く、それを見越して商品にはバッテリーパックが2個同梱されていた。搭載していたのはAndroid 1.5で、のちAndroid 1.6にアップグレードしたが、今の目で見ると古い環境である。

 一方、同時期に発売されたiPhone 3GSは第3世代のiPhoneであり、外装の品位や操作性の完成度はすでに高い水準にあった。この時点で「AndroidはiPhoneに比べ貧弱」との認識を持つ人がいても仕方ない。あるいは今でもそのように思っている人がいるかもしれない。

 最新のHTC AriaはHT-03Aと同じ台湾HTC製でスペックも似ているが、感触、操作感がまったく違う。Ariaの外装デザインの洗練、操作の快適さ、バッテリーの持ち時間の改善は、わずか1年半とは思えないほどの進化だ。詳細は第3回の記事を参照されたい。

 Androidの動きは速い。だからこそ、最新のAndroid機は先入観を捨ててよく観察する必要があると筆者は感じる。

14機種を比較検討、4グループに分類

 今回の記事の第1回第2回第3回の記事では、2010年秋冬に4事業者から発売のAndroid端末合計19機種のうち14機種の試用記を掲載した。第3回目の掲載日である12月22日には、日本通信がAndroidスマートフォン「IDEOS」を発表、日本でのAndroid端末を扱う通信事業者が1社増えた(表1)。

 第4回の記事では、今回試用した14機種の最新Android端末を比較検討してみたい。事業者の壁を越えて横断的に比べていくと、Androidの浸透と拡散の様子が見えてくる。まず、日本仕様搭載の端末、グローバル仕様の低スペック機、グローバル仕様の高スペック機は、それぞれ別のカテゴリと考えた方がよさそうだ。さらに、タブレット機も別のグループと考えた方がいいだろう。Android端末にこれだけの選択の幅が生まれたことは2010年に起きた大きな変化だった。

表1●2010年秋冬から2011年春発売のAndroidスマートフォンおよびiPhone/iPadの比較
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