IFRS(国際会計基準)の影響で、毎年のように大きな法制度の改定が続く。住友林業は7年ぶりに、グループ28社の会計システムを刷新する。会計関連の法規制の変更に追従しやすくするのが狙いだ。

 上場企業は2011年3月期から、資本の変動を利益に含める「包括利益」の表示や、経営管理の視点による「セグメント情報」の開示が義務付けられる。現行の日本の会計基準(日本基準)とIFRS(国際会計基準)との差異を埋めるコンバ ージェンス(収れん)の一環である。

 こうした会計関連の法規制の変更は毎年のように続く。財務諸表はもちろん、財務諸表を作成するための業務プロセスや情報システムへの影響が避けられない。特に会計システムが法規制の変更に追従できないのは致命的だ。

 住友林業が会計システムを刷新した最大の理由は、「会計制度の変更にシステムの改修が追いつかなかった」(情報システム部企画グル ープの三浦晃嗣マネージャー)ことだ。

 新システムはエス・エス・ジェイ(SSJ)のERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SuperStream」で構築、2010年11月にグループ28社への導入を終える。

ERPをバージョンアップできず

図●住友林業が本社を含むグループ28 社の会計システムを刷新した背景
図●住友林業が本社を含むグループ28 社の会計システムを刷新した背景
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 住友林業は会計システムを刷新するにあたり、ERPをリプレースした。2003年11月に構築した前システムは、日本オラクルのERPパッケージ「PeopleSoft Enterprise」を利用していた()。

 法規制対応に強いERPを利用していたにもかかわらず、なぜリプレースが必要だったのか。三浦マネージャーは「ERPを大幅にカスタマイズして導入しており、バ ージョンアップできない状態だった」と説明する。

 前システムでは、カスタマイズしやすいように柔軟性の高いERPを選んでいた。帳票や画面などを「スクラッチ開発のシステムのように、事業部門からの要望に合わせてカスタマイズしていた」と三浦マネージャーは振り返る。