「IS03」は、KDDIが満を持して投入するシャープ製のAndroidスマートフォンだ。この機種を約1週間弱、試用する機会を得た。試用期間中は常時持ち歩き、特にGMailとTwitterに関しては主力の端末として利用した。カメラとしても使った。限られた試用体験ではあるが、そこから見えてきたものを、今回のコラム記事で記してみたい。

 最初に「お断り」を。スマートフォンは、今のところ最も人に密着した情報デバイスだ。その使い方は利用者の個性を強く反映したものとなる。以下の評価、感想は、筆者の使い方に限定してのものだ。また筆者が常用しているスマートフォンはNexus OneとiPhone 3GSである。これら手持ち端末との比較が、記事中に何カ所か出てくる。

使って分かった画面の美しさ

 結論から言うと、筆者はIS03を気に入り「まず手を伸ばす端末」として使った。最も大きな理由は、液晶パネル、UI(ユーザーインタフェース)デザイン、フォントがそれぞれ美しく、画面から受ける全体の印象が高品位であることだった。気になる点もいくつかあった。特に、それまで常用していたスマートフォンと操作感が違うことは戸惑った。

 以下、「気に入った点」、「気になる点」をそれぞれ抽出して説明する。

(1)画面が美しく高品位

 高精細の液晶ディスプレイ、UIデザイン、モリサワのフォントのそれぞれが作り出す画面の雰囲気は、ぱっと見にはむしろ地味に見えるが、使っているうちに魅力を感じるようになった。複数の端末を持ち歩いている時、まずIS03に手が伸びたのだが、それは画面の美しさが大きな要因だった。

 液晶パネルは高精細(ダブルVGA、960×640画素)で視野角も広く、鮮明だ。常用しているNexus Oneの有機ELパネルに比べ、画像の忠実度が高いと感じられる。

 UIはスウェーデンOcean Observation社がデザインしたもの。筆者が常用しているNexus OneのAndroid標準UIに比べ、品が良い。アプリのアイコンは、オリジナルのアプリのアイコンを丸で囲んだデザインになるが、大きな違和感なく識別できる(写真1)。

写真1●Home画面の例。独特のUIデザインとモリサワのフォントが特徴
写真1●Home画面の例。独特のUIデザインとモリサワのフォントが特徴
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 フォントは、標準設定では「モリサワ新ゴR」を利用する。このほか、「LC明朝」「SHクリスタルタッチ」「Droid Sans」を選択できる。筆者はずっと標準の「モリサワ新ゴR」を使った。Androidにはもともとフォント切り換えの機能は含まれていないが、シャープはAndroid端末「IS01」のために複数フォントの切り換え機能を追加開発した。IS03にもその機能が引き継がれている。

 筆者が常用しているiPhone 3GSは、フォントとして「ヒラギノ」が使える点が大きな優位性だと感じている。AndroidとiPhoneの両方を持ち歩いているとき、iPhoneに手が伸びるのがどんな場合かといえば、「読む文字の分量が多い場合」だ。ところがIS03搭載の「モリサワ新ゴR」は、筆者にとっては「このフォントがあれば満足」と思わせるぐらいに読みやすかった。