「FeliCa対応アプリ ハッカソン」が、2010年11月13日に開催された。FeliCa対応のAndroidアプリケーションを一般の開発者が1日で作り上げる、世界初のイベントである。日経BP社 ITproが主催するAndroidアプリの開発コンテスト「Android Application Award(A3) 2010-11 Winter」に向けた活動の一環だ。約20人のAndroidアプリ開発経験者が集結し、端末同士をタッチして情報を送ることができるFeliCaの特性を生かしたアプリの開発に挑んだ。
晴天に恵まれたハッカソン当日、会場となった東京都渋谷区のデジタルガレージ本社に、開発対象機種であるKDDIの「IS03」(シャープ製、11月26日発売予定)の試作機が十数台持ち込まれた。開始直前に参加者向けの技術説明資料やサンプルアプリなどがインターネット上で公開され、午前10時半、司会を務めるブリリアントサービス かわかみひろき氏の“号砲”でスタートを切った。
通信相手のアプリを起動できるPush送信機能
午前中はセッションとして、KDDIの上月勝博氏とシャープの白石奈緒樹氏がIS03を紹介した。IS03はAndroid 2.1を搭載するとともに、ワンセグやFeliCa、赤外線通信など従来型携帯電話の機能も統合したしたスマートフォンだ。「AndroidにFeliCaを載せるのは(セキュリティ上)無理と言われていたが、シャープさん、フェリカネットワークスさんのおかげで実現できた」(KDDIの上月氏)。シャープの白石氏は「セキュリティを確保するのが難しいことはわかっていたが、どうしてもFeliCaを載せたかった。Googleに理解してもらうために、西海岸まで説明に行った」と開発の裏話を披露した。
続いてフェリカネットワークスの宮崎友良氏が、FeliCaのPush送信機能とそのAPIを解説した。Push送信機能は、自分のおサイフケータイを相手のおサイフケータイへかざすことで、相手の携帯電話をWebサイトにアクセスさせたり、メーラーを起動したりできる機能。FeliCa対応Android携帯電話同士であれば、相手の携帯電話で任意のアプリを起動(Intent)することもできる。
フェリカネットワークスの和田真氏は、同社が提供するサンプルアプリを解説した。自分の使っているアプリからお勧めアプリを選んで、相手に送信するものだ。
セッションの間にも、早くもサンプルアプリのコードを解析したりAPIのテストを始めたりする参加者が現れ、詳細な仕様について鋭い質問が次々に飛び出した。