サーバーラックを増設する際、電源容量が足りず分電盤を増設することがよくあります。分電盤は一般的に壁にとりつけることが多く、その都度増設していくと、いつの間にか壁が分電盤だらけになってしまうことがあります。また、壁に合わせるためにその時々でオーダーメイドしたくなるところですが、分電盤をオーダーメイドで発注すると、設計や図面承認、製作などに時間や手間がかかる上、出来上がったものが想像していたものと異なることも珍しくありません。

 しかし、最近のIT機器の納期は非常に短く、電源容量の増設が必要な場合、IT機器の納入に合わせた素早い対応が求められます。分電盤をオーダーメイドしているとこうしたニーズに応えられません。分電盤を標準化しておき、そうすることで設計や図面承認などを簡略化し、迅速に導入されるようにすべきです。

 また、最近ではITラック型の分電盤があります。これを使えば、壁を専有すること無く、ITラックを増設するタイミングで分電盤を増設できます(図1)。

図1●ラックレイアウトとラック型分電盤
図1●ラックレイアウトとラック型分電盤
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 最新の分電盤はネットワークインタフェースを持ち、使用電流値などのログを収集できる製品もあります。こういった製品を採用することで監視が容易になり、使用している電力を把握することが可能です。

 標準化した分電盤を使用することで、ブレーカーなどの予備パーツの共有化も可能になります。オーダーメイドと言えば聞こえは良いですが、サーバールームやデータセンターで使うなら、標準化された製品を選ぶ方が正しい選択といえるでしょう。


水口 浩之
APCジャパン サービス事業部 ソリューションエンジニアリング部 ソリューションエンジニア
前職は国産包装機械メーカーの海外事業部で技術営業として英語圏を担当。2006年よりAPCジャパンにて,ソリューションエンジニアとして顧客の希望するソリューションを設計している。UPS,ラック,空調,APCの全製品を組み合わせ,UPSとソフトウエアによるシャットダウン・システムの設計からラックの架台設計まで行う。ITインフラのスペシャリストを目指す。