ラックに機器を設置する際、重量や電源容量などに注意しなければなりません。これらに余裕があることを確認した上で、機器を設置します。この記事では重量に注目します。

 注意すべきポイントは、ラックの最大搭載荷重と床の耐荷重です。最新のサーバーラックなら1トン以上の機器を搭載することができる製品がありますが、古いサーバーラックだと500kg程度しか搭載できないものがあります。

 一般的な例で重量を見積もってみます。サーバー6台(1台当たり30kg)、ストレージ1台(90kg)、UPS1台(150kg)を一つのラックに設置したとすると、合計で420kgになります(図1)。この例ではまだまだラックに空きスペースはありますが、仮に最大搭載荷重が500kgのラックの場合、80kgしか余裕がありません。

図1●ラックと搭載機器の重量
図1●ラックと搭載機器の重量
図2●搭載荷重を監視するソフトの例
図2●搭載荷重を監視するソフトの例
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 一方、床の耐荷重は、一般的に1平方メートル当たり500kg程度の場合が多いものです。一般的なサーバーラックは幅600mm×奥行き1000mmなので、0.6平方メートルしかありません(ラックを設置する際に荷重を分散する設置方法や建築工事を行っているケースは除く)。床の耐荷重が1平方メートル当たり500kgだとすると、0.6平方メートルには300kgしか置くことができません。

 床の耐荷重を考える際に忘れてはならないのがラックの重量です。ラックは通常100kg以上ありますので、床の耐荷重が小さいと、ラックに搭載できる重量は相当小さくなってしまいます。

 最近の管理ソフトには図2のように搭載荷重を監視できる製品があります。ラックの最大搭載重量、ラック自身の重量、そして床の耐荷重に注意して監視するようにしましょう。


水口 浩之
APCジャパン サービス事業部 ソリューションエンジニアリング部 ソリューションエンジニア
前職は国産包装機械メーカーの海外事業部で技術営業として英語圏を担当。2006年よりAPCジャパンにて,ソリューションエンジニアとして顧客の希望するソリューションを設計している。UPS,ラック,空調,APCの全製品を組み合わせ,UPSとソフトウエアによるシャットダウン・システムの設計からラックの架台設計まで行う。ITインフラのスペシャリストを目指す。