UPSは出力容量が決まっており、負荷機器(UPSに接続する機器のこと)の消費電力の合計がUPSの出力容量以内に収まるようにする必要があります。負荷機器の消費電力の合計を確認できるように、多くのUPSは負荷状況をLEDメーターなどで表示しています。しかし、この値に余裕があるからといって、安易に機器を増設してはいけません。なぜなら、UPSの負荷状況表示メーターで確認できるのは「現在」の消費電力であり(図1)、その値が最大消費電力とは限らないからです。

図1●UPSの負荷状況表示メーター
図1●UPSの負荷状況表示メーター

 UPSの負荷機器となるサーバーマシンなどは、ユーザーのアクセス状況によって、または、起動時・平常時・シャットダウン時などによって消費電力が異なります。負荷状況表示メーターが示す値はある一時点の消費電力にすぎず、それを基にUPSの余力を想定するのは危険です。

 確実なのは、各機器のカタログスペックで最大消費電力を確認することです。その合計値に基づいてUPSの出力容量を超えないように気をつけます。

 ただ、カタログスペック値に基づくと、明らかにUPSの出力容量に十分な余裕があると判断できるケースがあります。図1では、20%程度しか使用していません。こうしたケースでは、UPSのログを確認し(図2)、実質的な最大消費電力を見極めるのも手です。実績に基づいた値で判断するわけですが、機器の利用状況(例えば同時アクセス数など)が変わると最大消費電力が変わる可能性がありますので注意が必要です。

図2●UPSのログの例
図2●UPSのログの例

水口 浩之
APCジャパン サービス事業部 ソリューションエンジニアリング部 ソリューションエンジニア
前職は国産包装機械メーカーの海外事業部で技術営業として英語圏を担当。2006年よりAPCジャパンにて,ソリューションエンジニアとして顧客の希望するソリューションを設計している。UPS,ラック,空調,APCの全製品を組み合わせ,UPSとソフトウエアによるシャットダウン・システムの設計からラックの架台設計まで行う。ITインフラのスペシャリストを目指す。