データ量が従来になく膨大になった“情報爆発”の時代が訪れた。ただ闇雲に分析に取り組んでも意味はない。だがその情報を上手く活用すれば、競争優位の源泉となりビジネス領域が広がるとの期待が高まっている。ビジネスインテリジェンス(BI)には四つのタイプがある。この切り口から“情報爆発”への処方箋を考えてみる。今回は、BIの四つのタイプを紹介する。
NTTデータ
技術開発本部 ビジネスインテリジェンス推進センタ長
中川 慶一郎
“情報爆発”は洪水か鉱脈か、それとも大海原か
ITの普及により消費者・生活者はさまざまな利便性を享受するようになった。その中で、ライフログと呼ばれる日常生活の行動履歴を記録した膨大なデータが発生している。企業活動においても、業務システムで蓄積されるデータは、より細かく多岐にわたり、結果としてより膨大になっていく傾向にある。
データ量は、これまでとは比べものにならないくらい膨大になっている。“情報爆発”と呼ばれる状況を前にして、多くの企業は、それらの情報が経営の意思決定には役立っていないという問題意識を持っている。だが一方で、情報を上手く活用できれば、「競争優位の源泉になるのではないか」「新しいビジネス領域を広げられるのではないか」といった期待を寄せている。
“情報爆発”は果たして、単なる情報の洪水なのか、宝が眠る鉱脈なのか、あるいはビジネスの新天地が横たわる大海原なのか。そのとらえ方は、企業によって異なるだろう。しかし、“情報爆発”に対して「いかに対処すべきか」を模索しているという点では共通している。
そもそも情報分析・活用においては、ただ闇雲に取り組んでも意味はないことは、これまでのビジネスインテリジェンス(BI)の歴史が物語っている。“情報爆発”を前にして思考停止になるのではなく、何のための情報分析・活用かという原点にもう一度立ち戻ることが求められている。
BIは、その背景や目的の違いから四つのタイプに分類できる。この四つのBIという切り口から、“情報爆発”への処方箋を考えてみよう。
BIには四つのタイプがある
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業内外に散在する膨大なデータを分析して、経営も意思決定に活用する取り組みや、そのためのIT、およびメソドロジーを総称するコンセプトである。
一般にBIシステムでは、分析用データベースであるデータウエアハウス(DWH:Data WareHouse)を構築し、基幹システムから抽出したデータを格納する。利用者は、データの検索・分析・作表といった機能をもつBIツールを使って、DWHのデータを分析する。
BIは、その背景や目的の違いから「集計分析型」「発見型」「WHAT-IF型」「プロアクティブ型」の4タイプに分類できる。これまでに広く普及してきた代表的なタイプのBIが、集計分析型と発見型だ。
WHAT-IF型とプロアクティブ型は、新しいタイプのBIである。情報分析・活用を核に、業務改革やサービス革新を実現し、企業に変革をもたらすことを目的にしている。
以下では、これら四つのタイプのBIの概要を順に説明する。