仮想デスクトップを一般向けサービスとして提供するパブリックDaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)が増えている。今年に入って、富士通や日立製作所、ソフトバンクテレコムなどが提供開始した。

 パブリックDaaSの利用料金は、仮想マシン当たりの月額制(表1)。2010年6月に丸紅が値下げに踏み切るなど、価格競争は激しい。コスト削減を図るために各社は工夫を凝らす。 例えば、ソフトバンクテレコムはコネクションブローカーを使わない。クラウドサービス開発本部の竹内俊雄 デスクトップサービスグループリーダーは「ユーザーの振り分けや、仮想マシンの起動指示といったコネクションブローカーの役割を、他の仕組みで代替できると判断した。ブローカーを使わない分、利用料金が下げられる」と話す。

表1●仮想デスクトップを利用したパブリックDaaSの例
表1●仮想デスクトップを利用したパブリックDaaSの例
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 単なる“仮想マシン貸し”ではなく、利用方法を合わせて提案するサービスも少なくない。

 日立製作所のサービスは、開発環境に特化したDaaSだ。マイクロソフトの開発ツール「Visual Studio」を導入した仮想マシンを貸し出す。「開発用のデスクトップはレンタルが向いている。ピークは台数が必要だが、メンテフェーズでは少なくてもよい。ニーズは一過性だし、調達にスピードも必要だ」。日立製作所の岡田純 セキュアユビキタスソリューションセンタ長は、開発環境に的を絞った理由をこう説明する。

 ワークスタイルの変革を提案するのがソフトバンクテレコムだ。iPadやiPhoneをからめた自社事例を武器に、既存顧客を中心に拡販する。「ターゲットはソフトバンクのサービスを使って閉域ネットワークを持つ顧客。サーバーを預かっている顧客に対してはSIも行う」(清水 副本部長)。

プライベート構築支援も充実

 プライベートDaaSの構築支援サービスも充実してきた。CTCは「cloudage desktop」サービスを2010年7月に開始。利用製品は、VMware ViewまたはCitrix XenDesktopから顧客が選択できる。「HTTPではなくRDPやICAプロトコルが通るので、ある程度の回線帯域が必要。CTCのデータセンターと回線接続されている既存顧客が有望だ」(CTC 流通システム第5事業部の古川英一氏)。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、「IIJ GIO 仮想デスクトップサービス」を2010年5月に開始。パソコンだけでなく、ネットブックやスマートフォンなどからも利用できることが特徴である。日本IBMは「IBM Smart Business Desktop Cloudクライアント環境仮想化サービス」を提供済みである。