仮想デスクトップ製品はヴイエムウェアの「VMware View」とシトリックスシステムズの「Citrix XenDesktop」が2強。マイクロソフトが「Microsoft VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」で追い上げる。

 シトリックスとマイクロソフトは2010年4月から共同キャンペーンを展開。「Microsoft VDI Standard Suite+Citrix XenDesktop VDI Edition」という組み合わせで、仮想デスクトップの拡販に力を入れる(図1の下)。マイクロソフト コマーシャルWindows本部の中川哲 本部長は「仮想デスクトップはシトリックス製品に一日の長がある。両社が組むことでより良いソリューションを顧客に届けられる」と提携の理由を説明する。

図1●仮想デスクトップのアーキテクチャー
図1●仮想デスクトップのアーキテクチャー
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 仮想デスクトップのアーキテクチャーは大きく、「画面転送」と「サーバー仮想化+デスクトップ」の二つに分けられる。

ICAプロトコルはモバイルで強み

 端末には「Citrix Receiver」のような画面転送ソフトを導入し、仮想マシンと画面転送方式でやり取りする。同様の機能を提供するワイズテクノロジーの「Wyse PocketCloud」は5月、iPhoneに加えてiPadをサポートした。

 画面転送ソフトは端末のキーボードやマウスの信号を仮想マシンに送信し、処理結果の画面を受け取る。通信プロトコルにはRDP(リモート・デスクトップ・プロトコル)やICA(インディペンデント・コンピューティング・アーキテクチャー)、PCoIP(ピーシー・オーバー・アイピー)が使われる。シトリックスはここで強みを発揮する。シトリックス マーケティング本部の竹内裕治 プロダクトマーケティング担当部長は「シトリックスのICAはRDPやPCoIPに比べて、ずば抜けてパフォーマンスが高い」と話す。

 日本仮想化技術が行った、ICAとRDPの性能比較を見てみよう(図2)。所要時間(左のグラフ)では若干RDPが勝っている。しかし、平均帯域使用量(右のグラフ)に注目すると、ICAはRDPに比べ、最も良くて11分の1、悪くても3分の1で済んでいる。テストを行った宮原 代表取締役社長兼CEOは「体感速度は大差ないが、裏を流れているトラフィック量が大きく違う。この差は、特にモバイル環境で効くだろう」と話す。

図2●ICAとRDPのパフォーマンス比較
図2●ICAとRDPのパフォーマンス比較
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