米マイクロソフトは2010年3月、同社CEO(最高経営責任者)であるスティーブ・バルマー氏が「今後1年以内に本社開発者の9割がクラウドにかかわることになる」と宣言し、本格的にクラウドへ取り組む姿勢を示した。

 同社は以前から「3スクリーン+クラウド」というコンセプトを打ち出している。既存のパソコンや、スマートフォンなどのポータブルデバイス、そしてゲーム機やテレビなどのコンシューマー向けデバイスをクラウドと連携させ、新たな価値を創造しようというものだ。

 この3スクリーン+クラウドの中核をなすクラウド基盤サービスが、「Windows Azure Platform(以下、Azure Platform)」である。マイクロソフトは今年2月から、日本でも商用課金のサービスを開始した。自社のシステムを開発・運用する手段として、利用を検討している読者も多いのではないか。

3種類のサービスで構成するAzure Platform

 Azure Platformは、マイクロソフトが提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の総称である。顧客企業はこのPaaSを利用することで、マイクロソフトのデータセンターで稼働する仮想的なWindows Server環境を使い、独自のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やアプリケーションを開発できる。

 Azure Platformの料金体系は、使用量に応じた従量制、月額固定の定額制が採用されている。後者には「Windows Azure Platform標準プラン」および「Windows Azure Platform拡張プラン」があり、6カ月間だけ有効な試用プランである。

 Azure Platformは3種類のサービスから成る。OSに相当する「Windows Azure」、データベース機能を提供する「SQL Azure」、そしてシステムやサービス同士の連係機能を提供する「Windows Azure platform AppFabric(以下、AppFabric)」である(図1)。今回は、その中のWindows Azureについて見ていこう。

図1●Azure Platformが提供する3種類のサービス
図1●Azure Platformが提供する3種類のサービス
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