ITpro EXPO AWARD 2010特別賞を受賞した「Vblock Infrastructure Package」は、シスコシステムズ、EMCジャパン、ヴイエムウェアの3社連合「Virtual Computing Environment(VCE)」が共同開発したプライベートクラウド構築を支援する基盤パッケージだ。

 シスコシステムズのサーバー「UCS(Unified Computing System)」とネットワーク機器「Nexus 1000V」「MDS(Multilayer Directional Switches)」、EMCジャパンのストレージ「Celerra NS-120」「CLARiX CX4」「Symmetrix VMAX」、ヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフト「vSphere ESX」を組み合わせて提供する。仮想サーバー台数とストレージ容量に応じて、「Vblock 0」「Vblock 1」「Vblock 2」の3種類の製品がある()。

図●Vblock Infrastructure Package
図●Vblock Infrastructure Package
[画像のクリックで拡大表示]

 ITpro EXPO 2010展示会では、Vblockの販売やシステムインテグレーション(SI)を担当するパートナー企業5社(伊藤忠テクノソリューションズ、日本ビジネスシステムズ、ネットマークス、ネットワンシステムズ、ユニアデックス)の協力を得て、Vblock 0とVblock 1上に各種仮想アプリケーションを実装。アプリケーションがVblock上で実際に稼働する様子や、リソースを動的に変更する様子、障害時にサービスを復旧するDR(ディザスタリカバリ)などをデモンストレーションした(写真)。

写真●ITpro EXPO 2010のブースでは、仮想アプリケーションを実装したVblock 0とVblock 1を動態展示した。
写真●ITpro EXPO 2010のブースでは、仮想アプリケーションを実装したVblock 0とVblock 1を動態展示した
[画像のクリックで拡大表示]

 Vblockの大きな特徴は、「導入の手間がかからない」(EMCジャパン パートナー事業本部 Virtual Computing Environment Affinityチーム VCEビジネス・ディベロップメント・マネジャー 雨堤政昭氏)点だ。通常、プライベートクラウドを構築するには、インフラを個別に調達して必要な性能を見積もってからシステムを作りこむ。「OSの種類や稼働させたいアプリケーションによって、ネットワーク、ストレージのサイジングを考えて検証する必要があり、膨大な労力がかかる」(雨堤氏)。

 一方、Vblockは、プライベートクラウド構築に必要なインフラをパッケージで提供するので、ネットワーク機器やサーバーを個別に調達する手間がない。さらに、Windows、LinuxなどのOS、Microsoft Exchange Server、Microsoft SharePoint Server、Oracle、SAP、VMware Viewなどのアプリケーションについて、インフラのサイジングと検証を終えた状態で出荷する。そのため、「迅速な導入が可能になり、見積もりミスや過剰投資のリスクも低減できる」(雨堤氏)。実際に、ITpro EXPO 2010展示会に出展したデモ環境は、1社あたり2日間という短期間で構築した。

 「Vblockは導入が手軽なだけではなく、最先端のプライベートクラウド技術に対応している」(シスコシステムズ パートナービジネス グローバル&アライアンスパートナーズ アライアンスマネージャーの土屋淳氏)。最先端の技術とは「Long Distance VMotion」や「Overlay Transport Virtualization(OTV)」などだ。Long Distance VMotionは、ヴイエムウェアの「VMotion」技術をベースとした機能で、オンライン状態のまま最大200km離れた拠点へ仮想マシンを移動できる。OTVは、異なる転送メカニズムを用いるデータセンター間でのデータ流用性を確保する技術。Long Distance VMotionによる仮想マシンの移行や、データセンター間のリソースの負荷分散をスムーズに行うことができるという。

■変更履歴
最終段落で「最先端のプライベートクラウド技術を搭載している」としていましたが,正しくは「最先端のプライベートクラウド技術に対応している」です。標準搭載ではなくオプションであるため、表現を変更しました。本文は修正済みです。 [2010/11/29 19:10]