新しいWindowsが発売される度に経験豊富なWindowsユーザーがとなえる有名な格言として「WindowsはService Packが出てから買え」というものがある。果たしてWindows 7もService Pack(SP)を待った方がよかったのだろうか。

 2010年10月27日、Windows 7およびWindows Server 2008 R2のSP1についてRelease Candidate(製品候補、RC)版が、TechNetのEvaluation Centerからダウンロード可能になった。今回のWindows 7実践ナビは、番外編としてWindows 7のSP1 RC版を紹介する。

Windows 7向けではSandy Bridge対応機能を先取り

 2010年10月29日、マイクロソフトからSP1 RC版の提供を開始したというメールが届いた(図1)。どうやらマイクロソフトは、Windows 7のベータ版をダウンロードしたユーザーに対して、Service Pack 1 RC版の評価もしてほしいと思って送っているようだ。

図1●マイクロソフトから届いたSP1 RC版提供開始のお知らせメール<br>「今すぐ開始」のリンクをクリックすると、ダウンロード先のTechNet Evaluation Centerのサイトが表示される。
図1●マイクロソフトから届いたSP1 RC版提供開始のお知らせメール
「今すぐ開始」のリンクをクリックすると、ダウンロード先のTechNet Evaluation Centerのサイトが表示される。

 そこで、まずSP1で何がどのように変わるのか調べてみた。すると、主に以下の内容が提供されることが分かった。

  • これまで「Windows Update」で提供されてきた更新プログラム
  • Sandy BridgeのAVXへの対応
  • Windows Server 2008 R2にRemoteFXを提供
  • Windows Server 2008 R2にDynamic Memoryを提供

 つまり、現在のWindows 7ユーザーにとっては、更新プログラムがまとめて提供される以外はあまりメリットがなさそうだ。ただ、将来的には「Sandy BridgeのAVXに対応」という部分が、大きな意味を持つかもしれない。

 現在インテルが展開しているCPUシリーズは「Core i7/i5/i3」である。これらCPUは「Nehalem」と呼ばれるアーキテクチャを採用している。だが、2011年初頭に登場する予定の次期CPUの中には、これとは違う「Sandy Bridge」と呼ばれるアーキテクチャが含まれている。このSandy Bridgeアーキテクチャの特徴は、内蔵グラフィックスがCPUと同じダイの上に乗り、キャッシュを共有するだけでなく、ターボ・ブーストでクロックも同時に変化する。さらに「AVX」(Advanced Vector Extensions)という命令セットをサポートしており、高速な浮動小数点演算が可能になっている。

 先日、サンフランシスコで開催された「Intel Developer Forum 2010」のデモでは、Core i7マシンで4分かかるエンコード処理を2秒で終了させるという一幕があったが、今回のSP1は、このSandy BridgeのAVXに対応しているというわけだ。将来「Sandy Bridge」を採用するCPUが増えてくれば、IE9のような直接GPUを利用するアプリケーションと相まって、SP1の本領が発揮されることになるだろう。その意味では、かなり先取りした機能をSP1では搭載していると言えるだろう。