ネイティブ方式によりNGN上でIPv6ローミングサービスを提供する事業会社「日本ネットワークイネイブラー」(JPNE)をKDDIほか5社が共同で設立した。背景には、IPv6のトラフィックが将来増えたときのインフラ投資を共用し、1社当たりの負担を抑える狙いがある。設備投資をできるだけ抑えるため、当初はバックボーンとしてKDDIのIPネットワークを調達して利用する。
2011年4月開始予定のNGNによるIPv6インターネット接続サービスは、トンネル方式とネイティブ方式によって提供される。このうちネイティブ方式は、3社のネイティブ接続事業者がNGNと直接接続し、多数のISP(インターネット接続事業者)に対してローミングサービスを提供する。ネイティブ接続事業者として、すでに日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)、BBIX、インターネットマルチフィードが選定されている。今回設立されたJPNEは、JPIXのネイティブ接続事業を引き継ぐ形となる。
JPNEは、KDDIのほか、インターネットエクスチェンジ(IX)事業者のJPIX、ISPのNECビッグローブ、ニフティ、朝日ネット、ヴェクタントの合計6社が出資し、共同で事業を進めていく(写真1)。
インフラ投資をできるだけ抑制
55%出資のKDDIがJPNE運営の中心を担う。「JPNEの事業は、バックボーンを含むネットワークインフラの構築・運用がメインになる。そこで通信事業者としてのKDDIのノウハウや事業基盤を生かせる」(KDDIソリューション事業本部 ソリューション商品企画本部長、JPNE代表取締役社長の小林昌宏氏)
その一方で、JPNEに多数のISPが参加しているのは、複数のISPが共同でインフラを作って共有することで、1社当たりの投資を抑えたいという狙いがある。「もともとネイティブ接続事業者が3社に限定されているのはNTT東西の事情によるものだ。今回はそれがたまたまうまく働いて、複数のISPとネットワークを共用できるようになった」(小林氏)