“情報爆発”の時代を迎え、企業の情報活用戦略は、企業経営に影響を与えるであろう“兆し”、すなわち「パターン」を積極的に見つけ出し、来るべき変化に備える「PBS(パターン・ベース・ストラテジー)」にある(第1回)。今回は、検索テクノロジーを取り上げる。検索は、大量の情報の中に生じている変化を理解するための効果的な手段の一つである。

 PBSが提言する「パターン」を検索するためには、構造化されていない広大な情報が眠る“宝の山”から適切なサンプルを発掘するテクノロジーが必要だ。情報の宝の山からビジネス上の価値を発見するには、情報を取捨選択しなければならないからだ。パターンを検索できなければ、大量の情報は“宝の山”どころか、“ゴミの山”になってしまうだろう。

5年後、パターン検出における成果の差は50%以上に

 企業は今、ビジネスと景気の両面から圧力を受けている。その中で大手企業は2014年にかけて、企業の運営と戦略の決定において、新たな機会やリスクにつながるであろうパターンの検出に集中的に取り組むためのリソースを増強すると、ガートナーはみている。

 2015年にかけては、検索テクノロジーを利用して、非構造化データに内在するパターンを検出することで、企業が掘り起こす新たな機会や回避できるリスクは、パターン検出に取り組まない企業が掘り出す量と比べ、50%以上増加するとみられる。

 パターンは、トランザクション情報など、構造化されたデータセットが持つ幾何学的な範囲においては、その検出は最も容易である(備考1参照)。しかし、構造化されていない情報、すなわち、口述での報告や、メモ、ニュースといった報道内容、大集団のつぶやきなど に潜むパターンは、最も見つけにくい。

 予測不可能なパターンを発見する能力を、情報分析の担当者が身に付けるためには、並外れたスキルと訓練が必要になる。新入社員などに、そうした能力を期待することはできず、個人が、パターン発見の能力を獲得するには、長年の経験が必要となる。

検索は、だれでも利用できるテクノロジーになった

 こうした事情は、ごく最近まで、我々の膨大な知識が眠る“宝の山”を前に、有益な情報を確認するケースでも変わらなかった。具体的には、電話帳から電話番号を探し出す、家系図から特定の個人を見つけ出す、学術調査の結果から必要な情報を得るなどだ。

 かつて、「スーパーテクノロジが登場し、人間の体験のあらゆる側面を網羅するユーザー生成型のグローバルな多言語情報コーパス (データベースの集合体) の存在が明らかになる」という着想があった。しかし、それも1990年には一度、虚構の話と化した。それが今や、Web検索テクノロジーが登場・普及したことで、言葉を覚えたばかりの幼児でも熟練のCEO(最高経営責任者)と同じように、情報を検索できるようになった。

 検索は既に、企業内だけでなく、一般消費者においても生活の一部になっている。各種の研究結果をみれば、検索はインターネット上で最もよく行われている活動の一つに常に数えられている。検索以上に利用されているのは、コミュニケーションとソーシャルメディア機能しかない。

 検索テクノロジーを使い慣れている利用者は非常に多い。そのため、検索テクノロジーは多数のアプリケーションとビジネスプラクティスにおいて、生産性を改善するための手段の候補になっている。だれもが検索方法を知っており、特定分野の理解を深める目的で検索結果を読み解けるからだ。

 そして、この検索を活用することで、将来を見据えるための「パターン」を発見できるのだ。