ドコモマーケット(iモード)のオープンに先がけて、コンテンツ提供者の登録受け付けが2010年10月21日より開始された。これは、ドコモマーケットを利用するにあたってのユーザー登録。ここでログインIDなどを発行されることで、iアプリ提供者向けサイトを利用できるようになる。

 このユーザー登録は、コンテンツ提供用のシステム利用申請を兼ねている。そのため、登録に際してシステム利用料2500円(年額)が必要になる。このあたりはiPhone/iPadアプリの開発にあたって「iOS Developer Program」への登録が必要となるのに近いが、年額99米ドルのiOS Developer Programに比べると、iアプリのシステム利用料は安いと言えるだろう。さらに2011年1月末までに登録すると、初年度のシステム利用料が無料になる。初年度はお試しで登録して、アプリの販売ができるわけだ。

 今回は実際に登録を行いながら、手続きの流れを見ていくことにしよう。

 まずはドコモマーケット(iモード)で実際にiアプリを提供開始するまでに必要な手続きを確認しておこう(表1)。

表1●NTTドコモのウェブサイトより情報引用
iアプリを提供するまでの流れ
1.サービスガイドラインの確認
2.コンテンツ提供者申請
3.利用規約の確認、ドコモマーケット(iモード)アカウント登録申請
4.本人性確認書類の提出、システム利用料金の入金
5.システム利用のためのログイン情報を郵送
6.開発環境の提供
7.iアプリ開発
8.コンテンツ申請、ドコモ コンテンツ審査(11月中旬開始予定)
9.ドコモマーケットでコンテンツ配信開始

 今回行うのはこのうち2から4のステップだ。基本的には、なんということはないWebページからの申し込みだが、郵送などでのやりとりもあり、物理的に時間がかかる部分もある。ドコモマーケット(iモード)のオープン時にアプリを出品したいのであれば、なるべく早く登録を済ませた方がいいだろう。

必要になるものは?

 まずはNTTドコモの登録申請ページにアクセスしよう。「ドコモマーケット コンテンツ(iアプリ)提供者登録へ」をクリックすると、写真1のようなページに飛ぶ。

写真1●NTTドコモの「ドコモマーケット コンテンツ(iアプリ)提供者登録」ページ
写真1●NTTドコモの「ドコモマーケット コンテンツ(iアプリ)提供者登録」ページ
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 入力事項は多いが、登録にあたって必要になるものはそれほど多くはない。とりあえず「契約者確認書類」のスキャンデータさえあれば登録はできる。有料アプリを想定している場合は、加えて振込先になる銀行口座を用意しておこう。なお、ゆうちょ銀行は使えないので注意だ。

 「契約者確認書類」は、個人と法人で必要となるものが異なる。登録ページには例として、運転免許証と日本国パスポートしか記載されていないが、現在公開されているドコモマーケットのサービスガイドライン(Ver.0.9)によれば、表2のような書類が契約者確認書類として使える。

表2●本人性確認資料として使えるもの
NTTドコモのドコモマーケットサービスガイドラインVer.0.9より抜粋
個人運転免許証(住所記載が裏面の場合は両面を1画面で)各都道府県公安委員会発行のもの(国際運転免許証は除く)
日本国パスポート顔写真、住所、署名欄確認ができること
住民基本台帳カード顔写真が掲載されているもの
外国人登録証明書在留資格のあるもので、在留期間まで90日以上あるもの
身体障がい者手帳または療育手帳または精神障がい者保健福祉手帳「顔写真」の欄がある場合は、顔写真が掲載されていること
健康保険証+公共料金領収証またはクレジットカードまたは学生証または住民票または外国人登録原票記載事項証明書公共料金領収証、住民票、外国人登録原票記載事項証明書、発行日から3カ月以内で、現住所が記載されているもの(「公共料金領収証」は、電気・都市ガス・水道・NTT東日本/NTT西日本の領収印がある領収証、または発行日(講座引落し日)の記載がある口座振替済通知書に限る)。学生証は、「氏名」、「顔写真」または「現住所」が記載されているもの。健康保険証は有効期限内であること
<中学生以上の未成年>本人の確認書類+親権者の同意書+親権者の確認書類「本人の確認書類」は個人に準じる。親権者の同意書は「親権者本人の自署」または「親権者本人の記名捺印」のもの。「親権者の確認書類」は個人の上記公的証明書となる。契約者が小学生以下の場合、親権者名義での契約となる
法人登記簿謄(抄)本(現在(履歴)事項証明書)+申し込み担当者の名刺「登記簿謄(抄)本(現在(履歴)事項証明書」、発行日より3カ月以内で、現住所が記載されているもの。なお、用意できない場合は、「その他の官公庁から発行された公的証明書(発行日より3カ月以内)」を用意。ただし、証明書によって受け付けできない場合がある

 運転免許証やパスポートを持っていない場合も、住民基本台帳カードなどを利用すれば登録は可能だろう。未成年の場合、これに加えて親権者の同意書と親権者の公的証明書をセットにして送る必要がある。なお、法人は3カ月以内に発行された「登記簿謄(妙)本(現在(履歴)事項証明書」と担当者の名刺が必要となる。

 証明書を用意したら、スキャンしてデータ化する。ファイル形式について指定はない。JPG、BMP、PNGといったWindowsでそのまま参照できる形式やPDFであれば問題ないようだ。スキャナーを持っていない場合は、スキャンサービスを行っているコンビニエンスストアを探して使うのが便利だろう。店舗にもよるが、1枚50円程度でUSBメモリーなどに保存できる場合が多い。

キャンセルは? 不備対応は? 考えておくべき規約面

 後はWebページの登録フォームに必要事項を入力していけばいい。赤字で「(※)」がついている項目は、必須入力項目となる。「事業者の代表者」「担当者」など、法人向けの表記となっている部分もあるが、いずれも未入力だとエラーが出される。なお、ニックネームなどの項目は、登録後に変更できるが、氏名や住所を変更する場合は、再度本人性確認書類の提出が必要になる。

 注意しておきたいのはパスワード。半角英数字8文字「ちょうど」で入力しないと、自動的に別のパスワードが発行される。発行されたパスワードは後日郵送されてくる書類に記載されているとのことなので、自動発行になった場合はそちらを確認しよう。

 また、少々わかりにくい入力項目もある。「iモード情報者提供契約の有無」は、これまでにNTTドコモの公式サイトを運営していたユーザーが対象だ。多くの人は「締結していない」をチェックしておけば問題ないだろう。

 悩みどころになるのは「特定商取引法表示/問い合わせ先項目の登録」の項目だろう。まず、個人の場合は「名前、住所、電話番号」の公開、非公開が選択できるので、忘れずチェックしておこう。問題はその先だ。「キャンセル・返品(返金)について」「コンテンツの不良・不備等について」「特別な販売条件」といった項目は、どのようなことがあるか事前に想定しておく必要があるだろう。たとえば、「先着100ダウンロードまで特別価格で提供」といった数量制限などを設定する必要がある場合はここに記載しておくことになる。「デジタルコンテンツの特性上、返品が不可能であるため、購入確定後のキャンセル・返金についてはお受けできません」といった文例も用意されているので、そちらを見ながら考えるのもいいだろう。

 必要項目を入力し、送信すればひとまず申請完了となる。筆者の場合、運転免許証があり、スキャナーも手元にあったので、20分程度で申請作業を終了した。規約的な部分をあらかじめ考えておけば、もっとスムーズに申請作業を済ませることができるだろう。内容や書類に不備がなければ、ドコモマーケットのシステムログインに必要な情報が送られてくることになる。