「飛行機は、もはや庶民の乗り物だ。安さを武器に新たな需要を生み出す」。片道4000円の国際線チケットで一躍有名になった中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空の王正華董事長は意気込む。「低価格の秘訣は、マイレージのような過剰サービスを完全に省くことと、ITの徹底的な活用にある」と強調する。(聞き手=大和田 尚孝)

8月下旬に売り出した片道4000円の国際線チケットは発売から20分で完売したようですが、この結果をどう見ていますか。

春秋航空 董事長 王 正華氏
春秋航空 董事長 王 正華氏
写真:町川秀人

 率直に言って、ほっとしました。というのも、大量のアクセスが押し寄せてWebサイトがダウンしないかと、心配していたからです。利用者が予約や支払いといった処理を滞りなく進められるかについても気掛かりでした。

 発売当初の混乱を防ぐため、販売座席数を全体の10%に抑え、販売日数も7日間だけに絞り込みました。それでも不安なので、発売初日に私はシステムの操作画面の前に陣取り、Webサイトの動作状況や予約状況を見守っていました。いざ販売が始まると、Webサイトの動作は順調で、利用者の操作面での混乱もなく、すぐに予定枚数を売りさばくことができました。

 ほっとしたと同時に、驚いたことがありました。Webサイトを通じて、50代の方にも予約をいただいたことです。予約者の年齢層は、30代とその前後の方が中心でしたが、比較的高齢の方もいたのです。

 これは自信になりました。それほど知名度がなく、実績もない会社でも、低価格という価値のあるサービスを提供すれば、日本でも受け入れてもらえる。こうした手応えをつかみました。

 実は、中国の高齢者はインターネットを使える人が少ない。ところが日本では50代の人もネットを使いこなしている。ネットをチケット販売の最重要チャネルとして位置付けている当社にとって、これは大きなチャンスです。