IT市場規模は2011年に日本を抜く、ERPでは外資系が苦戦、サーバーはIBMとHPが拮抗──。政府系調査会社の賽迪顧問(CCIDコンサルティング)のデータを基に、ソフト/ハードなど7分野の市場規模と製品シェアを公開する。

IT市場規模は2011年に日本を逆転へ

 中国のIT市場規模は2010年には初めて1兆元(12兆円)を突破する見通しだ(図1)。2009年は8710億元(10兆4520億円)であり、2010年の成長率は15.2%の見込み。2011年以降も「前年比15%を超える成長率を維持し、2012年には1兆3399億元(16兆788億円)に達する」と、CCIDコンサルティングの張涛高級副総裁は予想する。

図1●日本と中国のIT市場規模の推移
図1●日本と中国のIT市場規模の推移
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 二ケタ成長を維持する根拠として、張高級副総裁は三つの理由を示す。第一に、金融や通信の大手企業と政府がIT投資を増やしていることだ。第二に、環境配慮型の最新技術を積極的に採用する動きがみられること。第三に、インターネット関連産業の成長である。ネットゲームや携帯電話向けサービスなどの普及が、ITの需要拡大につながるという見方だ。

 一方、日本のIT市場は低成長が続く。IDCジャパンの調査によると、2010年のIT市場規模は前年比0.5%増の12兆3530億円。2011年には日中のIT市場規模が逆転することがほぼ確実だ。

SI市場は群雄割拠

図2●システム構築(SI)の市場規模の推移
図2●システム構築(SI)の市場規模の推移
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 システム構築(SI)分野の2010年の市場規模は、前年比17.7%増の283億9000万元(3406億8000万円)となる見通しだ(図2)。シェア争いでは、中国企業と米国などの外資系企業が、激しい戦いを繰り広げている。上位3社は、神州数碼(デジタル・チャイナ)と浪潮集団(インスパー)、IBMの順である。日本勢ではNECの12位が最高順位。だが上位企業でもシェアは10%に届かないのが現状だ。突出した企業がないだけに、日本勢にも躍進の機会はある。

ERPは国産製品が外国勢を圧倒

図3●ERPパッケージの市場規模の推移
図3●ERPパッケージの市場規模の推移
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 ERP(統合基幹業務システム)パッケージ市場は、国産製品が圧倒的に強いのが特徴だ。シェア首位は「ERP-U8」が代表製品の用友軟件で20%以上(図3)。今回取材した中国企業や日系企業の大半が、用友のソフトを利用していた。金蝶国際軟件とSAP、浪潮集団、オラクルは10%未満。SAPやオラクルの製品は、主に製造業が導入している。ERPパッケージの2010年の市場規模は、前年比16.8%増の69億2800万元(831億3600万円)となる見通しだ。