日本市場におけるAndroid搭載スマートフォンの機種数が、この秋から来春にかけて2倍以上になる。

 2009年、日本市場に投入されたAndroid端末はNTTドコモが販売した「HT-03A」(台湾HTC製)1機種だけだった(関連記事)。現在は2010年4月にNTTドコモが発売した「Xperia」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製、関連記事)、ソフトバンクモバイルが発売した「Desire」(台湾HTC製、関連記事)、6月にKDDIが発売した「IS01」(シャープ製、関連記事)、7月にNTTドコモが発売した「LYNX」(シャープ製、関連記事)がある。以上の5機種である。

 この数字が倍増する。2010年10月に、7機種が新たに発表された。NTTドコモは韓国Samsung Electronics(以下Samsung)製の「GALAXY S」を10月28日から、「GALAXY Tab」を11月から発売し、KDDIはシャープ製の「IS03」を11月、韓国Pantech製の「IS06」を年内、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の「IS04」とシャープ製の「IS05」を2011年春までに発売する。ソフトバンクモバイルは、台湾HTC製の「Desire HD」を11月をメドに発売する。

 単に機種数が増えただけではない。Android端末は急速に進化している。

 日本市場で最初に市場投入されたHT-03Aは、2008年10月登場の最初のAndroid端末「G1」と同じ世代で、CPUは最大動作周波数528MHz、320×480画素の3.2インチ液晶ディスプレイを搭載していた。Androidのバージョンは1.5から1.6であった。

 この10月に発表された6機種は、いずれも最大動作周波数1GHzのCPUを搭載し、WVGA(480×800画素)以上の高解像度ディスプレイを備え、Android 2.1かAndroid 2.2を搭載している。短時間触ってみただけで、その進化は明らかだ。画面の広さ、UIの洗練、レスポンス、タッチパネル精度、あらゆる面で、新たに登場する端末は大幅に改善されている。Androidの進化のスピードは速い。

 日本市場でAndroid端末は本格的に認知されるのは時間の問題だろう。以下、この秋冬の新端末の概要を見ていく(なお、NTTドコモが投入する「GALAXY Tab」は他のタブレット端末と共に次回で取り上げる)。

世界で500万台売った「GALAXY S」、韓国Samsungが総力を結集

 Samsungの「GALAXY S」(写真1)は、世界中で500万台を売った機種のドコモ版である。エレクトロニクスメーカーとして世界最大手のSamsungが「iPhoneに対抗するため力を注いだ」と語る、最新の部品と実装技術を投入した端末だ。

写真1●GALAXY Sの外観。ディスプレイの鮮明さが印象に残る
写真1●GALAXY Sの外観。ディスプレイの鮮明さが印象に残る
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 搭載する4インチの有機ELディスプレイ(SUPER AMOLED)は色再現性110%、コントラスト比1万対1と非常に鮮明であることと、反射率が4%と低く昼間の野外でも画面への写り込みが少なく見やすいことを売り物とする。また、マルチタッチの静電容量タッチパネルは精度が高く、その操作感は先行するiPhone4に比べて遜色ないレベルまで来ていると感じた。

 OSは最新のAndroid 2.2を搭載。UIデザインは、独自のカスタマイズを施している。率直に言ってiPhoneに似せた画面デザインである。グローバルモデルではビデオ会議などに使う「インカメラ」を備えているが、NTTドコモ版では取り除かれている。

 自社開発のC110アプリケーションプロセッサ(最大動作周波数1GHz)は、半導体アナリストによる分析によれば、iPadやiPhone 4が搭載する「A4プロセッサ」(米Apple社が設計しSamsungが製造)と同様に、複数の半導体チップを重ねるpackage on package(PoP)により512Kバイト級の大容量L2キャッシュを確保している模様だ。グラフィックスプロセッサコアPowerVR SGX540も集積する。さらに16Gバイトの内蔵フラッシュメモリー、本体寸法122×64×9.9mm(最厚部約12mm)、重量は約118gと薄く軽量な本体、といったスペックを実現している。

 日本独自仕様を必要とせず、操作性のよいAndroid端末を求めているユーザーには、この秋冬モデルの中で最初の候補となる機種といえるだろう。現在手に入る最新のスペックのAndroid端末の一台である。最新のAndroid端末の操作性を知る意味からも、店頭で実際に触ってみることをお勧めしたい。

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