Android端末の普及が世界中で加速している(写真1)。2010年2月時点で1日6万台だった増加ペースが、5月時点で1日10万台、8月時点で1日20万台――。20以上のメーカーが90機種のAndroid端末を市場投入し、アプリケーションの登録数も8万本を超えて急増中だ(写真2)。Androidは世界的なモバイル・インターネット需要を旺盛に吸収し、それを加速する存在となってきた。

写真1●アクティべーション数の推移。2010年2月に6万台/日だった増加ペースが、6カ月後の8月には20万台/日と加速した。Google Developer Day 2010 Japanより
写真1●アクティべーション数の推移。2010年2月に6万台/日だった増加ペースが、6カ月後の8月には20万台/日と加速した。Google Developer Day 2010 Japan(関連記事)より
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写真2●90機種のAndroid搭載端末が出回っている。Googleが関知しないデバイス類はさらに多い。Google Developer Day 2010 Japanより
写真2●少なくとも90機種のAndroid搭載端末が出回っている。Googleが関知しないデバイス類はさらに多い。Google Developer Day 2010 Japan(関連記事)より
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 記事冒頭に紹介した数字は、米Googleの発表による。増加ペースの数字はAndroid端末のアクティベーション数だ。実際に利用者の手元に渡り、ネットワークを経由して初期化された実働する端末の台数が、これだけ急激なペースで増えているのだ。ここで2010年8月の「1日20万台」というペースも大変な数字だが、注目したいのはその変化率である。6カ月の間に、6万台/日から20万台/日へと3倍以上に伸びている。Android搭載スマートフォンは、単に成長しているだけではない。成長が急激に加速しているのだ。その普及曲線は、過去のiPhoneの普及曲線よりも急峻と見られる(写真3)。

写真3●Androidは登場から2年に満たないが、iPhone以上の成長ペースを見せる。iPhoneは4年で2億台の普及ペース。横軸の1目盛りは1四半期(3カ月)。Google Developer Day 2010 Japanより
写真3●Androidは登場から2年に満たないが、iPhone以上の成長ペースを見せる。iPhoneは4年で2億台の普及ペース。横軸の1目盛りは1四半期(3カ月)。Google Developer Day 2010 Japan(関連記事)より
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 世界最初のAndroid端末「G-1」は2008年10月に発売された(関連記事)。それから2年。この凄まじい普及ペースの先に、どれだけの変化が起こるのか。世界はどう変わるのか。

 変化の予測は困難だが、変化の先頭グループに参加することは可能だ。Androidを推進するGoogleの狙いは、モバイル・インターネットの先頭グループに参加し、影響力を持つことだ。そしてAndroid搭載端末を作るメーカー、Androidアプリを作る企業や個人も、それぞれの思惑はあるが「先頭グループに参加したい」という気持は同じだ。

 実際、インターネット上でのサービス提供を本業とするGoogleは、インターネット・アクセスの主流がモバイルになると予測して行動している。「HTML5が実装されているモバイル・デバイス(スマートフォンなど)からの検索トラフィックは、北米ではすでに従来型携帯電話を越えた。モバイルが新たなイノベーションを起こす」(Google シニアエンジニアリングマネージャー及川卓也氏)。

 モバイルこそITの最前線──このことは、Googleだけでなく、多くのIT企業が認識している。次のITのイノベーションはモバイル分野で起こる。どのようなイノベーションが起こるのかは予測できないが、先頭グループに入れるか否かで、未来は大きく変わってくることは間違いない。