今回は、コンサルタントのモデルキャリアパスとキャリアアップのポイントを説明しよう。

 図1に、トップレベルのコンサルタントに対するインタビューに基づいて作成した、コンサルタントのモデルキャリアパスを示す。

図1●コンサルタントのモデルキャリアパス
図1●コンサルタントのモデルキャリアパス
[画像のクリックで拡大表示]

 ITSSが定義するコンサルタントはレベル4以上としているので、そこに至るまでは他の職種でコンサルタントになるためのスキルを身につけることとなる。コンサルタントになる主なパターンとしては、次の3つがある。

  • ITサービスを提供する他の職種(アプリケーションスペシャリスト、ITスペシャリスト、ソフトウェアデペロップメント、ITアーキテクト、カスタマサービスなどすべての職種)から、コンサルタントになるパターン
  • ITにかかわる企画・管理などの職種からコンサルタントになるパターン
  • 販売や生産管理、経理などの非IT職種からコンサルタントになるパターン

 いずれのパターンでも、「自らの価値を高める」という視点でキャリアモデルを思い描き、「自分はコンサルタントになりたい」という意志を強くもつことで、コンサルタントへのキャリアチェンジの機会を呼び込む必要がある。

コンサルタントに成る前に、問題解決スキルを身に付ける

 レベル4のコンサルタントになる前は、様々な職種で、ITの基本スキルを身につけると同時に、担当する業務の実務知識や問題解決スキルを習得する(ITスキル基礎固め期)。特に、問題解決スキル(問題を引き出す力、課題を論理的に分析し解決策を検討する力、全体をまとめあげる力、解決策を伝える力など)は、コンサルタントにとって基盤となるスキルなので、この時期にしっかり身に付けておく必要がある。

 人によって異なるが、20歳代後半~30歳代半ばから、レベル4のコンサルタントとして活躍するようになる。具体的には、多数の現場経験を蓄積することで顧客価値を提供できるようになるとともに、顧客の信頼を獲得。顧客の経営層との関係も構築・維持する。同時に、自社の利益・成長を意識した新たなソリューションの開発や顧客開拓にも取り組むようになる。この時期に、専門性を持つなど、継続的に自らの価値を向上させ、業界の第一人者を目指すような意識・姿勢を持ち続けることも重要だ。

 30歳代後半から40歳代後半になると、コンサルタントしての成熟期に入り、全社規模のソリューション開発、顧客開拓、後進の育成の指揮をとり、顧客経営層との関係を構築・強化するとともに、大規模プロジェクト全体を統括する責任者として顧客の業務・組織を改革するようになる---以上が、トップレベルのコンサルタントの標準的なキャリアアップのステップである。