今回は、アプリケーションスペシャリストのモデルキャリアパスとキャリアの作り方を紹介しよう。アプリケーションスペシャリストとは、業務上の課題解決にかかわるアプリケーションの設計、開発、構築、導入、テストおよび保守を実施するエンジニアのことだ。いわゆる、業務アプリケーション系のSEである。

 図1に、トップレベルのアプリケーションスペシャリストへのインタビューに基づく、アプリケーションスペシャリストの「モデルキャリアパス」を示した。

図1●アプリケーションスペシャリストのモデルキャリアパス
図1●アプリケーションスペシャリストのモデルキャリアパス
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 図に示すように、最初の3~4年間は、主にプログラミングやテスト、保守業務を担当する(基礎技術の習得)。この時期に、システム開発に関する基本的なスキルを獲得する。

 30歳を超える8年目くらいまでに、ほぼ1人前のアプリケーションスペシャリストとして独り立ちする。軸になる業務領域を持ち、業務システム開発の設計を担当し、小規模プロジェクトのリーダーとして活躍するようになる。この時期に、開発方法論などシステム開発に関するスキルはひととおり身につける。

 30歳以降(8年目以降)は、リーダーとしてサブシステムの上流工程(要件定義、基本設計)を担当するとともに、顧客と折衝する機会も増える。業務の範囲は広がり、経験した業務がスキルとして固まり始める時期である。この頃に、設計・開発リーダーとして、一部のマネジメント業務を任されることが増える。

 そして30歳代半ば(12,3年目)以降は、リーダーとしてシステム全体の上流工程から本番稼働までを担当し、顧客との接点やマネジメント業務はさらに拡大することになる。40歳(17、8年目)以降になると、複雑で難易度の高い業務システムを担当。業務の専門家として、コンサルタント的な役割も増え、顧客への付加価値提案なども行うことになる---以上が、トップレベルのアプリケーションスペシャリストの標準的なキャリアアップのステップとなる。