電池駆動によって持ち運びできるモバイルルーターの選択肢が増え、注目を集めている。そこで編集部では、企業ユーザーがiPadやノートパソコンなどの複数の無線LAN機器を外出先で利用するケースを想定し、モバイルルーターの実力を検証した。最近登場した新製品を含む4機種について、バッテリーの持ち時間や通信速度を実測した。
モバイルルーターとは、無線LANアクセスポイントと、第3世代携帯電話(3G)やモバイルWiMAXといった無線WANの通信機能を併せ持つルーター。端末から見ると、無線LANを3GやWiMAXに変換してインターネット接続するイメージだ。カバンの中に入れておけばカバンの周りがどこでも無線LANスポットになる。新製品が相次いで登場したことに加え、iPadやスマートフォンなどモバイルルーターと組み合わせやすいデバイスが増えたことで、ビジネスコンシューマーを中心に人気を集めている。
モバイルルーターは、ほとんどが5台から10台の同時接続に対応している。このためノートパソコンやスマートフォン、タブレット型端末それぞれで無線通信を契約するよりも、通信費を抑えられる。
特に最近ではiPadが企業ユーザーの注目を集めている。iPadは3G回線内蔵モデルと内蔵しないモデルがあるが、内蔵しないモデルでも無線LANによるネット接続は可能で、モバイルルーターと相性が良い。しかも4~6時間の連続通信が可能である。企業ユーザーにとって魅力的な選択肢になるだろう。
気になる4項目をチェック
評価したのは、このジャンルの草分けであるイー・モバイルの「Pocket WiFi」と、2010年5月から6月に発売された最新機種、バッファローの「ポータブルWi-Fi」、日本通信の「b-mobile WiFi」、モバイルWiMAXに対応したシンセイコーポレーションの「URoad-7000」の合計4製品である(表1、写真1)。いずれも手のひらに収まるコンパクトサイズで、カバンに入れても邪魔にならない。
評価では、まず外出時の利用で気になるバッテリーの持続時間をチェックした。さらに訪問先でどれだけスピーディーにネット接続できるかを考え、電源オンからネット接続可能になるまでの時間を計測した。
続いて、主要な都心ビジネスエリアにおける通信速度を測定した。
最後に、モバイルルーターで選択肢が増えてきたSIMロックフリー機の実際の使い勝手を確認した。SIMロックフリー機では端末と通信回線をユーザーの好みに組み合わせられる。うまく組み合わせれば、通信コストの最適化が可能だ。
4機種のなかでは、b-mobile WiFiと、ポータブルWi-Fiの姉妹機でNTT東日本が発売する「光ポータブル(タイプB)」がSIMロックフリーの機種。Pocket WiFiは国内ではSIMロック仕様だが、海外ではSIMロックフリー機として扱える。
上記の評価では、端末と回線の代表的な組み合わせとして、Pocket WiFiではイー・モバイルのSIMカードを、ポータブルWi-FiではNTTドコモのSIMカードを、b-mobile WiFiでは日本通信のSIMカードを利用した。URoad-7000はモバイルWiMAX専用だ。UQコミュニケーションズのサービスを使った。