日本でも、クラウドの活用が当たり前になった。米国の大手企業も日本市場に熱い視線を送る。今年のクラウド・フェスタには、Amazon Data Services Japanが日本初出展。迎え撃つ日本勢のソリューションも併せて、目が離せない。


 クラウドコンピューティングが一変させたものは何か。それはユーザーの意識だ。ユーザーは今、「情報システムとは、必要なときに、初期投資無しで利用でき、処理能力は求めに応じて大きくなったり、小さくなったりする」と思っている。一昔前なら“夢”と思われていたシステムが、クラウドによって今や当たり前になった。

 クラウドの威力をいち早く全世界に知らしめたのは「Amazon Web Services(AWS)」だ。世界最大のeコマースサイト「Amazon.com」のために開発した基盤技術をつぎ込んだ、伸縮自在なIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)は、ITの常識を一変させた。

Amazonが日本初出展

 そのAWSが2010年、いよいよ日本市場に本格参入した。年初から営業活動を開始し、8月にはAWSのWebサイトが日本語化された。今まで英語のサービス概要(料金体系や使えるソフトウエア名称など)しかなかったが、日本語でチェックできるようになった。そして10月、ITpro EXPO 2010の「クラウド・フェスタ」に、Amazon Data Services Japanが出展。同社がいわゆる展示会にブースを出展するのは、日本ではこれが初めてである。

 ブースでは、日本人スタッフが、AWSのサービス概要を解説する。さらに、AWSの各種サービスにさまざまな付加価値を提供するパッケージアプリケーションベンダーやシステムインテグレーターなどのサードパーティーも登場する。

 ユーザー企業は、クラウドにさまざまな要望を持っている。システムの開発は容易か、アプリケーションは豊富に利用できるのか、他のシステムと連携は可能なのか――。これらをすべて成し遂げるには、サードパーティーを含めた「エコシステム」が不可欠だ。クラウド・フェスタのAWSブースは、AWSの実力を見る絶好の場になるだろう。

 AWSを迎え撃つ日本勢も黙ってはいない。日本発のクラウドサービスも、種類が年々充実している(表1)。クラウド・フェスタには、日本のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)事業者の連合であるASP・SaaSインダストリ・コンソーシアムなどが出展する。パリビリオンでの展示や、講演を通じて、日米のクラウドサービスの今を、存分に実感していただきたい。

表1●クラウド・フェスタへの出展社(予定)
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表1●クラウド・フェスタへの出展社(予定)