「クラウド基盤ホットステージ」では、シスコシステムズとEMCジャパン、ヴイエムウェアの3社連合によるクラウド基盤パッケージ「Vblock Infrastructure Package」をデモする。Vblockの販売/SIパートナーによる各種アプリケーションの実演展示は、国内初となる。


 大規模なものでは数百、数千もの仮想マシンを収容するプライベートクラウドとは一体どのようなものか――。クラウド基盤ホットステージの狙いは、企業の情報システム基盤に俊敏性や柔軟性をもたらす技術として注目が高まっている「プライベートクラウド」を来場者に体感してもらうことだ。会場に持ち込んだ実機が稼働する様子を直接見て、その特徴やメリットを感じてほしい。

 実機によるデモンストレーションのほか、会場に用意されたミニシアターや展示ブースでは、ベンダー各社による技術解説やソリューション解説、先進ユーザーによる導入事例の紹介も予定している。

クラウド構築をパッケージ化

 仮想化技術の浸透によって、企業の情報システム基盤は大きく変化している。サーバーやストレージ、ネットワークといったITリソースを仮想化して集約し、必要なときに、必要なスペックのリソースを迅速に利用できるようになった。一つの物理リソースを複数のシステムが仮想的なIT基盤として共有するので、ITリソースの利用効率を高めることができ、システム全体でのコストダウンも見込める。

 さらに、仮想化して割り当てるITリソースを標準化、メニュー化し、サービスとして提供できるようにすることで、ユーザーの利便性は一層高まる。仮想化技術を駆使してITリソースのサービス化を推し進めたシステム基盤が、プライベートクラウドである。

 ただし、プライベートクラウドの環境を一から構築するのは容易ではない。サーバーやストレージ、ネットワークなどの製品を個別に調達し、必要な性能や拡張性を見積もってシステムを作り込むのは手間がかかる。さまざまな製品の組み合わせを検証する負荷も膨大である。

 こうしたプライベートクラウド構築の手間を軽減する製品として、「クラウド構築パッケージ」をベンダー各社が相次いで投入している。必要なハードやソフトをひとまとめにして、検証済みの製品として提供する。

 今回クラウド基盤ホットステージで展示する「Vblock Infrastructure Package」はクラウド構築パッケージの一つだ。シスコシステムズ、EMCジャパン、ヴイエムウェアが「Virtual Computing Environment(VCE)」と呼ぶ3社連合で提供している。

 具体的には、シスコのサーバー「UCS(Unified Computing System)」とネットワーク機器「Nexus 1000V」「MDS(Multilayer Directional Switches)」、EMCジャパンのストレージ「Celerra NS-120」「CLARiX CX4」「Symmetrix VMAX」、ヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフト「vSphere ESX」を組み合わせ、ターゲットとするシステムの規模に応じて、「Vblock 0」「Vblock 1」「Vblock 2」の3種類の製品をそろえる(図1)。

図1●クラウド基盤を提供するVblock Infrastructure Package<br>サーバー、ストレージ、ネットワークの各製品を組み合わせて検証済みのプライベートクラウド基盤として提供する。ITpro EXPOでは、エントリーパッケージのVblock 0、中規模パッケージのVblock 1を展示してデモを実施。販売/SIパートナー5社がそれぞれVblock上で稼働する各種ソリューションを併せて披露する。
図1●クラウド基盤を提供するVblock Infrastructure Package
サーバー、ストレージ、ネットワークの各製品を組み合わせて検証済みのプライベートクラウド基盤として提供する。ITpro EXPOでは、エントリーパッケージのVblock 0、中規模パッケージのVblock 1を展示してデモを実施。販売/SIパートナー5社がそれぞれVblock上で稼働する各種ソリューションを併せて披露する。
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 Vblockは、専用の管理ツール「UIM(EMC Ionix Unified Infrastructure Manager)」でシステム全体を統合管理可能だ。例えば、仮想マシンのパターンやストレージ容量といったシステム構成をサービスカタログとしてテンプレート化しておき、簡単な作業で一度に設定できる。

 現在国内で提供されているクラウド構築パッケージは、Vblockのほか、日本IBMの「IBM CloudBurst」、日本ヒューレット・パッカードの「HP BladeSystem Matrix」、NECの「Cloud Platform Suite」などさまざま。ユーザーの選択肢は確実に広がっている。