“クラウドベンダー”としての富士通。ITpro Expo 2010展示会では、その全体像がはっきりすることになりそうだ。会場では、最新のSaaSやIaaSサービスのほか、プライベートクラウド上のサーバー、ストレージ、ネットワークといったICTリソースの使用状況を見える化できる管理ソフトのデモなどを実施する。


 「ITpro Expo 2010は、トータルなICTの環境を紹介できるイベント。しかし富士通ブースでは、いま最も旬なクラウドコンピューティングに的を絞って出展したい」。富士通 プラットフォームビジネス推進本部 ビジネス企画統括部 プロジェクト部長の杜若尚志(かきつばた・たかし)氏は、ITpro EXPO 2010への出展に向けて、同社の展示方針をこのように語る。

 富士通は、自社のデータセンターリソースを活用して、不特定多数の企業にクラウドコンピューティングのサービスを提供するパブリッククラウドと、企業が自社内でクラウドコンピューティングのシステムを構築するプライベートクラウドの両方を事業として展開中。さらに、パブリッククラウドとプライベートクラウドを融合させたハイブリッドクラウドにも注力するという。

 「すべてをクラウド化するのではなく、顧客企業がすでに所有するシステムを生かしながら、富士通のクラウドサービスを組み合わせて利用してもらいたい」(杜若氏)。また、同社はネットワークサービス「FENICS」も提供しており、「ITpro Expo 2010では、富士通の総合力も見てほしい」と杜若氏は強調する。

10月末に開始する中堅中小企業向けSaaSを紹介

 富士通ブースの見どころは主に3点あるという。「ラインアップを強化中のSaaS商品、オンデマンド仮想システムサービス、そしてクラウド対応プロダクトだ」(杜若氏、図1)。

図1●富士通のクラウドへの取り組みの概要<br>☆印が付いているのがITpro EXPO 2010での見どころとなる最新の製品/サービス。
図1●富士通のクラウドへの取り組みの概要
☆印が付いているのがITpro EXPO 2010での見どころとなる最新の製品/サービス。
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 SaaS商品として富士通は、製造業や流通業といった業種特化分野で17種類、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)、ERP(統合基幹業務システム)といった共通業務分野で27種類ものサービスを既に提供している。さらに開発中のサービスが12種類もあり、品ぞろえは豊富だ。

 だが、これまでのSaaS商品は大企業を対象としたものが多く、中堅中小企業への対応が急がれていた。そんななか、2010年10月末に提供開始されるのが、SaaS型業務アプリケーションソフト「GLOVIA smart 会計 きらら」だ。これは、中堅中小企業向けにSaaS型で提供するGLOVIA smartの新シリーズ「きらら」の第一弾商品。9月29日に発表したばかりのこのGLOVIA smart 会計 きららも、ITpro Expo 2010に出展する。