特許庁の基幹系システム再構築に絡む収賄・贈賄事件について、被告らに執行猶予付きの有罪判決が下された。元特許庁職員に懲役2年、執行猶予4年、追徴金約256万円。元NTTデータ社員は懲役10カ月、執行猶予3年となった。

 収賄側の判決理由について東京地方裁判所は「公正中立な立場が求められる特許庁の審判官でありながら、特定の企業に便宜をはかるため、長期、多数、多額の賄賂を受け取っていたことは軽くみることはできない」と話した。贈賄側の判決理由は「自ら主導して賄賂の供与を繰り返すきっかけを作った」とした。

初公判で犯行までの経緯が明らかに

特許庁のシステム開発汚職、猶予付きの有罪判決

事件発覚後の経緯

 6月22日、特許庁先任審判官とNTTデータ社員が収賄・贈賄容疑で警視庁に逮捕された。特許庁の基幹系システム再構築に関して、入札関連情報を提供する見返りに数百万円分のタクシーチケットを授受したとの容疑によるものだった。

 これを契機に、経済産業省は第三者調査委員会を設置。同委員会は8月20日に、先に逮捕されたNTTデータ社員以外にも、日立製作所と東芝ソリューションの社員が特許庁の職員にタクシー代や飲食代を提供していたとする調査結果を発表した。特許庁側でも新たに2人の職員が収賄にかかわっていたものと報告された。この件について日立製作所と東芝ソリューションは、社内規定に則り、対象の社員に「厳正な処分を行う」とした。

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