iアプリのオープン化を多少厳しい視点でとらえる開発者もいる。第2回目は、iモード黎明期から携帯電話向けプログラム作成などに携わり、現在は累計で150万ダウンロードを超えた「memory tree」などの人気iPhoneアプリを開発するアルジスCEO/クリエイティブディレクターの宮田人司氏に話を聞いた。
NTTドコモがiモードのオープン化を発表しました。この動きをどう思われますか。
5年くらい前に開放してくれればよかったのに、というのが正直な感想です。そういう意味では、"今さら感"はかなり強いですね。現在はiPhoneアプリの開発を行っていますが、そのきっかけは「世界へ同時配信できる」という点に興味がわいたからです。世界レベルのマーケットという点で、iモードのビジネスモデルとは180度違いますから。
マーケティングのいい勉強
iモード市場にはまったく魅力がない、ということでしょうか。
そういうわけではありません。モバイルマーケットは広がっているし、個人や若い人にもチャンスは広がっています。IT業界で働こうとしている人にとって、NTTドコモの今回の試みはマーケティングのいい勉強になると思います。
すでにアイデアが出尽くした感のあると思われがちなiモードですが、出尽くしたなんてことは絶対にありません。
例えば検索サービスでは、最強だと思われていたYahoo!がGoogleに抜かれ、いまはそのGoogleさえも追い越すようなサービスが登場してきている。検索エンジンを見てもわかるように、新しいアイデアはどんどん出てきます。その意味でも、チャレンジの場としては最適でしょう。“ガラケー”を使っている人は、日本に数千万人もいるわけですから。
ソーシャルメディアの活用が必須
チャレンジに成功する秘訣は何だとお考えですか。
明確な方法論はありません。でも、まったく手がないわけでもない。たとえば、有効的なPR方法としてTwitterやmixiなどのソーシャルメディアを利用することが挙げられます。個人ではPR費用も簡単には確保できませんから、自分で宣伝するしかない。とすれば、これだけ発達したソーシャルメディアを使うのはもう必須です。
また、デザインや見た目も重要なファクターの一つ。デザインにはしっかりと気を配り、いいものを仕上げる必要があるでしょう。
Javaのiアプリのニーズは、まだしばらくあると思います。ですが、長期的にはわかりません。だから、参加するなら短期で当たるコンテンツを思いつき、数年という短い期間でやると食いつきはいいと思います。