iPhoneアプリ開発者には、iアプリで腕をみがいた“卒業生”も多い。現役大学院生でありながら、ユビキタスエンターテインメント(UEI)で「ZeptoLiner」や「i書道」といった人気iPhone/iPadアプリを開発した近藤誠氏もその一人だ。特集3回目は「ドコモマーケットの話を聞いてドキドキした」という近藤氏に、iアプリへの思いやスマートフォンアプリとの違いなどを聞いた。インタビューにはUEIの清水亮社長も同席、ビジネス面からの見方を披露した。
NTTドコモがドコモマーケット(iモード)でiアプリDXのオープン化を計画しています。この動きをどう見ていますか。
正直、ドキドキしている

近藤氏: しばらくiPhoneアプリの開発ばかりやっていましたが、今回の話には正直、ドキドキしています。というのも、iアプリって機能的には色々できるのに、トラステッドiアプリ(編注:ドコモと契約したコンテンツプロバイダだけが開発できる高機能なiアプリ)でないとできない、ということがたくさんあったんですよ。
例えば「(3Dグラフィックスのプログラミングインタフェースである)OpenGLが使える」ということになっていますが、個人開発者には全く門戸を開いていなかった。iアプリの開発を頑張っていた5年くらい前は、OpenGLを使いたいと思いながら、自前で「3Dっぽいもの」を作ったりしていました。
課金ができることも大きいです。ドコモでは個人の作ったアプリに課金する方法がほとんどありませんでしたから。販売代行の会社もありましたが、そこで売っているアプリは18禁ソフトが多く、「自分はここに登録していいのか」と感じて登録しませんでした。
以前はボーダフォン(当時)だけに課金の仕組みがあって、iアプリをボーダフォン向けに移植して販売したりしていました。1アプリ50円とかで販売して、その収入でパソコンを買ったりしました。
やっと個人がiアプリを販売できる環境ができた、というのは感慨深いものがあります。
今回開放される機能で、注目しているものはありますか。
全体的に見て、キラー的な機能がバシっとあるというよりも、地味ながら使ってみたい機能が色々あるといった感じですね。
例えばOpenGL ESが使えるのはうれしい。最近はiPhoneとかで普通になっていますが。Bluetoothにも注目しています。コンピュータと通信できるアプリも作れたら、面白そうです。ダウンロード元以外とHTTP通信できる機能もいいですね。今までよりも自由に開発できます。ほかにも、設定したスケジュールでアプリが自動起動する仕掛けなどに注目しています。
赤外線通信とかBluetoothの通信機能とか、スマートフォンでは十分に使えない機能もある。こうしたハードウエアを使うと、今までにないアプリができるかもしれない。
まだ開発を始めてはいないので、ドキュメントを見た段階での感想ですが。