HTML5にはどんな機能があるのか。いつごろ仕様が決まるのか。そもそもHTML5の実体は何なのか。HTML5開発者コミュニティーの管理人である白石俊平氏に、HTML5の基本を2回に分けて解説してもらう。まずは、HTML5の主要機能を総括する。

 HTML5とは、その名の通り「HTML」(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)という技術の最新バージョンだ。HTMLはWebページを作成する際に用いられる仕様であり、「タグ」と呼ばれる特別な記号を文書内に埋め込むことで、文書構造を定義する。

 HTMLはW3C(ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム)という標準化団体が仕様の標準化や管理を担っている。

プログラミング言語と統合

写真1●HTML5では、パソコンに保存してあるファイルをWebブラウザーに対してドラッグ・アンド・ドロップすることも可能
写真1●HTML5では、パソコンに保存してあるファイルをWebブラウザーに対してドラッグ・アンド・ドロップすることも可能
写真は、HTML5の機能の多くを実装する米グーグルのブラウザー「Chrome」でWebメール(Gmail)を開き、ファイルを添付している様子。
[画像のクリックで拡大表示]

 HTML5は、従来のHTMLとは異なる三つの特徴を備えている。

 一つめが、HTMLのタグに加えて、JavaScriptのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)も規定されていることだ(正確にはドキュメント・オブジェクト・モデル=DOMと呼ばれる仕様)。これは、HTMLを「タグに関する仕様」としてとらえていた人々にとっては大きな変化だろう。プログラミング言語(JavaScript)と統合されたことで、HTML5はアプリケーションを動作させるためのプラットフォームとみなすことができるようになった。

 二つめは、HTML5は「何を指しているのか、実体があいまいな単語である」ということだ。現在世の中で「HTML5」と呼ばれている仕様、あるいは技術は、実際には様々な仕様の集合体を総称したものである。