クラウドの運用管理を容易にするクラウド管理ソフトはまず,IaaS[注1]型サービスである「Amazon EC2/S3[注2]」向けの製品/サービスが充実してきている(図1)。Amazon EC2/S3は,外部から利用できる管理用API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を備えるからだ。管理用APIを使って,仮想マシンの起動や停止,負荷分散装置の制御などが可能で,運用管理を自動化できる。
ただし,日本でも安価なパブリック・クラウド・サービスが増えてきているが(次ページの別掲記事参照),Amazon EC2/S3と同様のAPIを備えたものはほとんどない。
第1回に登場した東芝がAmazon EC2/S3向けに利用したクラウド管理ソフトは,日本のベンチャー企業あくしゅが開発したオープンソース・ソフト「Wakame」である。ファームウエアの配信時期に合わせて仮想マシンを増減させるために採用した。Wakameでは,仮想マシンの起動時や停止時に実行するスクリプトを記述できる。
東芝はこれを使って,仮想マシンの起動時にAmazon EC2/S3がサービスとして提供する外付けドライブをマウントしたり,停止時にアクセス・ログをバックアップしたりしている。
同様のソフトは,ほかにもある。米RightScaleは2007年からAmazon EC2/S3向けの管理ソフトをSaaS[注3]として提供している。仮想マシンの起動時などに実行するスクリプトを記述できるのはWakameと同じだが,それらのスクリプトと仮想マシン・イメージの対応をGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)画面で管理できる点が異なる。Webシステムを構成する複数の仮想マシン・イメージと,設定用のスクリプトを一括して管理する機能もある。また米Scalrは,同様の機能を持つ管理ソフトをオープンソース・ソフトとして公開している。