クラウドの大きなメリットは,必要なリソースを,使いたいときにすぐに使えること。その環境を,自社内に容易に導入・拡張できるようにしたのが,プライベート・クラウド構築製品だ。これは,必要なハードウエアやソフトウエアをすべてパッケージにした製品である。

 日本IBMのプライベート・クラウド構築製品「IBM CloudBurst」を導入した三菱総研DCSの長見雄史氏(SI技術部長)は,「プライベート・クラウドを構築するのに,仮想化ソフト,ブレードサーバー,ストレージなどに各種OSを組み合わせて動作検証するのは大変な作業。それを省けることは大きなメリットだった」と話す。

 三菱総研DCSは,サポート切れになる社内の開発環境用ブレードサーバーを置き換えるためにIBM CloudBurstを導入した。旧サーバーで動かしていた簡単なワークフロー・システムなどもCloudBurstに移す計画だ。

 プライベート・クラウド構築製品は,最近になって選択肢が広がっている。2009年に登場したIBM CloudBurstや米Hewlett-Packardの「HP BladeSystem Matrix」に続き,2010年に入ってからNECの「Cloud Platform Suite」,米Cisco Systems,米EMC,米VMwareの3社連合による「Vblock Infrastructure Package」などが相次いで発売されている(表1)。

表1●主なプライベート・クラウド構築製品
表1●主なプライベート・クラウド構築製品
管理ソフト,仮想化ソフト,ハードウエアなどがセットで提供され,プライベート・クラウドを容易に構築できる。
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