日本企業が重視するのは社員のやる気で、「やる気主義」が蔓延していると著者は見る。だが日本人のやる気は上がったかというとそうでもなく、むしろ下がったように思えるというのが本書の問題提起だ。

 その原因はどこにあるのか。やる気が無いというと、やる気を引き出すことばかりが論じられるが、著者はそこに不満を感じた。そこで何がやる気を無くさせているかを探した。するとやる気主義そのものに問題があったと指摘する。これが「やる気のパラドックス」だ。

 やる気を鼓舞し、評価するやる気主義は逆にやる気を低下させると著者は主張。やる気主義を捨てたら売り上げが伸びた例も引きながら、主張を裏付ける。

日本人ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体

日本人ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体
太田 肇著
PHP研究所発行
1575円(税込)