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「もしドラ」に学ぶシステム部長の心得アイ・ティ・イノベーションの能登原伸二常務
![]() 写真●アイ・ティ・イノベーションの能登原伸二常務 「情報システム部のマネージャーは長期ビジョンや構想力を持ち、必ずやり遂げなければならない」。X-over Development Conference(XDev)2010に、アイ・ティ・イノベーションの能登原伸二常務(写真)が登壇。「もし情報システム部のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という講演タイトルで、情報システム部のマネージャーのあり方について講演した。 この講演タイトルはベストセラー「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)をもじったもの。もしドラは、野球部の女子マネージャーの「みなみ」がピーター・ドラッカーの書籍「マネジメント」と出会い、それを参考に野球部を甲子園へと導くストーリーである。 「もしドラで、みなみはドラッカーの言葉を引用しながら戦略や戦術を立案し、マネージャーとして野球部を導いていった。企業の情報システム部門も同じプロセスで考えられる」と能登原氏は言う。具体的には、顧客の定義、目的の明確化、マーケティング、イノベーション、人材育成といったものだ。 能登原氏は企業情報システムの役割を「経営目的を達成するための仕組み」と定義。「情報システム部門の役割は、業務の仕組みを改革したり改善したりすること。コンピュータはそれを支援するためのもので、コンピュータが勝手に意志決定することはない」として、成果を出せるかどうかは人材にかかってくると強調した。
「競合他社に勝つためのリーダーシップ」が必要情報システムの顧客には、経営者と事業部門が相当すると分析する。経営者、事業部門、情報システム部門はそれぞれ立場が異なり、互いの視点を理解することが重要という。「経営者はとにかく投資対効果を上げてほしいと考えている。業務部門は自分たちのビジネスの達成に役に立ってほしいと考える。その間に入る情報システム部門は、納期通りにきちんと動くシステムを作らなければならない」。 経営者、事業部門の要求を満たしつつ、納期通りに稼働するシステムを作るには「上流工程が重要になる。失敗の原因は上流工程にあることが最も多い。どういうものを作りたいのか、はっきりさせてからシステムを作らないといけない」とした。 ここで果たすべき情報システム部門の役割について、能登原氏は「JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)が定義する『ITガバナンス』が参考になる」とした。それは「IT活用に関する行動を企業が競争優位構築のためにあるべき方向へ導く組織行動である」というものだ。「ITを使って競合他社に勝つためのリーダシップを取る」ことが、情報システム部のマネージャーの役割だという。 情報システム部門の目的としては、安定したITサービスを提供すること、スピーディに対応すること、高品質・短納期・低コストを両立させること、セキュリティ・コンプライアンスを統制すること、グローバルに考えることを挙げた。特にスピードについては「従来は半年単位で物事を進めればよかったが、今は四半期単位でなければならない」と言い、考え方を変える必要があるとした。 以上を踏まえ、情報システム部門が果たすべき機能を「ビジネス上の課題や問題を解決していくこと」とまとめた。「事業部門だけではどうしても個別最適になってしまう。全体を見て効率化するのは情報システム部門の役割だ」。
システム部門にもマーケティングが必要能登原氏はドラッカーのマネジメントから「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングのイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」という一節を引用。情報システム部門にも同様の考え方が必要であると説いた。 マーケティングの観点では、経営者、事業部門といった“顧客”が何に困っているかを洗い出す必要があると主張した。課題の洗い出しには運用フェーズが重要になるという。「ビジネスに役立つシステムを生み出すと言うと開発に注目しがち。しかし、システムの価値を生み出しているのは運用の部分だ。運用部門が最も顧客のニーズを知っている。運用部門が企画者にならないといけない」と主張した。 運用重視の考え方はIT構想・企画といった“超上流”でも必要になるという。「超上流では要求に基づいて何を作るのか検討する。運用したときにどうなるのかというイメージが重要だ」とした。 講演の最後では人材育成にも触れ、「人間には資質がある。その人の強みを生かして、会社はどういう人を育てたいのか明確にしないといけない」とした。一つの方法としてメンターの配置を挙げた。「若手はそもそも何をすればいいのか分からないことが多い。支援する組織が必要だ」。 若手の育成では「最近、覇気のない若手が多いと相談を受けることが多い」としたうえで、「リスクを負って挑戦させるようにすべき。出来事に対して選択できることが人間が持つ最大の力だ。『苦しいけれどチャンス』と考える人の方が成長できる。これはドラッカーの言うマネージャーに必要な資質である『真摯さ』にも通ずるものだと考えている」と講演を結んだ。 連載新着連載目次へ >>
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