電子メールなどのビジネス文書では、敬称の使い方にも気をつけましょう。今回は、敬称の正しい使い方を学びます。

どこが問題?

○○システム協会 山下会長様
いつもお世話になっております。
AB社 丸山でございます。

さて、先般はご多忙中にも関わらずご面会いただき誠にありがとうございました。○○システム協会のこれまでの経緯をお伺いでき、大変参考になりました。
…中略…
山下会長殿が全会員にお伝えされているご意向を踏まえた上で、再度お伺い・提案させていただいてもよろしいでしょうか。私、丸山より改めて日程のご連絡いたします。…

ここが問題!敬称の使い方を間違えている

 上記の文章は「敬称」の使い方が正しくありません。敬語と同様に正しい使い方を覚えましょう。

 では、そもそも敬称とはどのような言葉なのでしょうか。広辞泉によれば、以下の通りです。

1 人名や官職名などの下につけて、または単独に用いて、その人に対する敬意を表す語。「様」「先生」「閣下」など。
2 相手または相手方の事物について、敬意を表す言い方。「あなた」を「貴兄」、「相手の原稿」を「玉稿」という類。

 ビジネス文書で敬称を使う際、大切なことは相手を敬うための「尊称」と、自分をへりくだるための「卑称」をきちんと区別することです。

変わった!

○○システム協会 会長 山下様
いつもお世話になっております。
AB社 丸山でございます。

さて、先般はご多忙中にも関わらずご面会いただき誠にありがとうございました。貴協会でのこれまでの経緯をお伺いでき、大変参考になりました。
…中略…
山下会長会員の皆様にお伝えされているご意向を踏まえた上で、再度お伺い・提案させていただいてもよろしいでしょうか。小生より改めて日程のご連絡いたします。

これで解決!          

 敬称を使うときは、以下の5つのポイントに気をつけましょう。

(1)宛名の敬称

 役職名は敬称の一種と考えられています。ですから「○○会長様」というのは「会長」と「様」の二重の敬称となってしまいます。二重にならないためには「~会長 ○○様」「~部長 ○○様」といった書き方がふさわしいでしょう。

 ちなみに団体に宛てて文書を出す場合の宛名は、「○○会社 様」ではなく、「○○会社 御中」です。「御中」と「様」は一緒には使いません。気をつけましょう。

(2)団体名の敬称

 貴社(御社)、貴学、貴会(御会)、貴協会など、「貴」や「御」をつけます。反対に自分の側の団体は、弊社、当会、当協会など、「弊」や「当」をつけます。

(3)殿と様の使い分け

 目上の方には「殿」は使いません。目下あるいは同僚に対してのみ用います。ですから、原則「様」を使うとよいでしょう。

(4)複数の人の敬称

 複数の人たちに対する敬称は「皆様」です。宛名の場合は「各位」も使用できます。間違えがちなのが「皆様各位」と二重に敬称を使用してしまう場合です。これは気をつけましょう。

(5)個人の敬称

 自分の卑称は「小生」「当方」などがあります。卑称ではありませんが、通常は「私」も使えます。一方、個人の方への尊称は「貴殿」「貴台」「○○様」などを使います。