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開発プロセス

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を生かす

ITpro

第71回 「負けるが勝ち」のマネジメント

2010/08/14

プロジェクトをマネジメントする立場にいる者は、メンバーとの接し方を一歩間違えると、現場から強い反発を受けて孤立してしまう。最悪なパターンの一つは、地位の高さや経験の豊富さを武器に、メンバーを常にやりこめてしまうこと。これが感情的な対立に発展すると、プロジェクトの成功はおぼつかない。

後藤 年成
マネジメントソリューションズ マネージャー PMP


 「PMOを生かす」のコラムの中で筆者が一貫して述べていることは、「プロジェクトのメンバーが気持ちよく作業ができる環境を作ること」がPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の一番の任務だということです。ここで言う環境とは、仕組みや運用ルールだけでなく、「メンバーが気持ちよく」作業ができる雰囲気や気持ちも当然含みます。

勝ってばかりいると相談されなくなる

 PMOとしては、ときとしてメンバーに対して耳が痛くなるような嫌なことも言わなければなりません。そんなときでも、PMOとメンバーの意見が対立したときには、「相手にいつも勝っていてはNGだ」と考えることが重要です。

 筆者の実体験を話します。進捗会議で「なぜ、遅延しているんだ!」「そのキャッチアッププランで本当に追いつけるのか?」「遅延している原因は正しいのか?」など、メンバーを追い詰め過ぎてしまったことがあります。次の進捗会議からは、不都合な情報が隠されてしまい、重要な情報が上がってこなくなりました。

 このときのメンバーは、個人の能力がないと批判されているように捉えてしまったようです。筆者にそんなつもりは毛頭なかったのですが、結果的にはPMOに対して「敵意」を抱かれかねない状況でした。

 PMOという仕事柄、どうしても「好かれる」立場にはありませんが、「敵意」を抱かれたら大変です。プロジェクトに必要な情報が隠されてしまうだけでなく、プロジェクト内に「感情の対立」が生まれ、雰囲気が悪くなってしまいます。

PMOは「2勝3敗」ぐらいがちょうどいい

 プロジェクトには当然様々な「対立」が発生します。一般的なプロジェクトマネジメントの教科書には、「対立」は「きちんと表面化させて解決しましょう」とあります。プロジェクト上必要なコストや品質、進捗、優先順位などの決定事項が対立する際には、確かに教科書通りに「対立」をあぶり出し、しっかりとマネージメントすることが必要です。
 しかし、これが「感情の対立」に発展してしまうとプロジェクトのコミュニケーションが分断されてしまい、プロジェクトが傾く大きな原因となってしまいます。特にPMOとメンバーが対立した場合には「感情の対立」に発展しかねない大きな落とし穴があります。

 PMOとメンバーそれぞれの地位や経験は、大体において「PMO>メンバー」となることが多いのではないでしょうか。すると、どういうことが起きるかは、皆さん想像がつくと思います。そう、意見が対立したとき、PMOの意見がいつも勝ってしまうのです。そのような状況が続くと、当然メンバーの心には不満がたまっていき、「どうせ何を考えてもPMOの言う通りにするんでしょ」という気持ちがメンバーにわいてきます。

 これはメンバーの主体性を奪うことになり、ひいては「言われたことを言われたままやる」といった事態を引き起こしかねません。もしそうなってしまったら、「プロジェクトのメンバーが気持ちよく作業できる環境」かどうかは改めて言うまでもないでしょう。また、メンバーがPMOにどんな感情を抱いているかは察しがつくと思います。

 上記の話も、実は筆者がまだPMOとして駆け出しだった頃の失敗談です。筆者がこの失敗から学んだことは、「PMOとして負けてあげる」ことの重要性です。負けてあげるとは、相手の意見を十分に尊重する、相手の意見を基にして考えを発展させる、ということです。

 メンバーは「プロジェクトの成功」という共通目標を持っています。対立が起こるのは、目標を達成するための「前提事項」や「進め方」が対立するためです。PMOには「いままでこのやり方で成功してきたのだから、次もこうするべきだ」という考えがあるかもしれません。しかし、たまには相手の意見を受け入れるだけの余裕を持っておくことも大切なのです。経験から言うと、「2勝3敗」ぐらいがちょうどよいのではないでしょうか。

>>LOSE But Finally WIN
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