RFPを作成し,レビューを受ける時期にしておくべきもう一つの作業は,ベンダーへのRFPの提示から提案書を受け取るまでの一連のプロセスをスケジュールベースで検討,決定することである。ここには,RFP提示後のベンダーからの質問に対する回答プロセスも含む。

 プロセスを検討するに当たり,ベンダーがどのように提案書を作成するのか,つまり「ベンダーの提案書作成プロセス」の概要を発注者であるユーザー企業側が把握していることが望ましい。調達支援のコンサルティングを行っていると,しばしば気になることの一つが,ユーザーはベンダーの,逆にベンダーはユーザーの作業やそのプロセスに対してあまり関心を持っていないことである。

 自分たちの側からしか物事を見ていない状況で,調達活動やその後のシステム開発を実施すると,ほとんどの場合,なんらかのトラブルに見舞われる。RFPと提案書は発注者と受注予定者である会社同士のコミュニケーションの手段だ。良好なコミュニケーションを取るためには,個人間のコミュニケーションと同様に「気配り」が必要である。

 発注者であるユーザーがベンダーの提案書作成プロセスを理解することは,以下のように調達活動に好影響を与えることになる。

・RFPの適切な提示ができる。
・提案書作成に必要な時間を過不足なく提供できる。
・Q&Aに対応する体制を整備できる。
・質問への適切な回答ができる。

 ベンダーにおけるRFP受領から提案書提出までのプロセスを図5に,示す。それぞれのプロセスで,ユーザー側が考慮すべきポイントや知っておくべきことは以下の通りである。

図5●提案書作成プロセスの概要
図5●提案書作成プロセスの概要

(1)RFPの受領

 ベンダーはどのような体制でRFPを受け取りに行けばよいか,必ず悩むものである。RFPの配布方法に関しては明確な情報をベンダーに提供しよう。RFP配布時に説明を行う場合は,例えば参加人数を3名までといったように制限した方が,ユーザー・ベンダー両方にとって都合がよい。また,RFP配布・受領に伴い提出が必要な書類などがあれば,事前に正確な情報を伝えるように心掛ける。

(2)提案作成チームの編成

 ベンダーの提案チームはRFP受領前から大枠の顔ぶれは決まっていることが多いが,正式にスタートするのはやはりRFPを受け取ってからになる。