ネットワーク機器の寿命はどうやって決まるの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
●企業向けの製品について
伊佐治 俊介
日本ヒューレット・パッカード
プロカーブ ネットワーキング ビジネス本部
マーケティング マネージャー
●家庭向けの製品について
山下 誠
バッファロー 事業推進部 販売促進グループ

 突然ネットワークに接続できなくなったと思ったら,ハブやルーターの故障だったという経験はありませんか。一体何がネットワーク機器の寿命を左右するのでしょうか。企業向けの製品と家庭向けの製品では要因が異なります。

 企業向け製品の寿命は,装置の故障率に大きく左右されます。故障を少なくするには,部品の数を減らして故障の原因を少なくする必要があります。

 日本ヒューレット・パッカードの場合,自社で複数の機能を統合したチップを開発し,部品の数を少なくしています。例えば,48ポートを備えるシャーシ型のLANスイッチのスイッチ処理部分では,他社だと18個のチップを使うところを2個のチップで構成しています。また,スイッチ製品は故障時に製品を無償交換するという保証制度を設けているので,ずっと使い続けられます。

 もっとも,企業ではネットワーク機器を壊れるまで使い続けずに,ネットワークの拡張や機能追加,サーバー類の更新に合わせて5~6年でネットワーク機器を交換するケースが多いようです。

 一方,部品が少ない家庭向けの製品は,電解コンデンサや冷却ファンなどの寿命が,機器の寿命に大きく影響します。電解コンデンサは,10度の温度上昇で寿命が約半分になります。冷却ファンには,稼働時間×回転数という明確な寿命があります。ファンが止まったり,埃がたまると他の部品の寿命にも影響します。

 バッファローの場合,信頼性の高い日本製コンデンサを使用したり,省エネ設計やファンレスにすることで,動作可能な範囲の最悪環境でも,保証期間内に寿命が尽きないように設計しています。

 機器の持ちが良いという点では,熱の発散効率の高い金属きょう体の機器や熱の発生が少ない節電機能のある機器,ファンレス機器が有利です。寿命を延ばすには,風通しの良い場所に機器を設置したり,定期的に点検して埃を掃除するとよいでしょう。