許哲 執行役員開発ディビジョン
許哲 執行役員開発ディビジョン
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 中古車の買い取りで急成長したガリバーインターナショナルが、買い取った車を一般消費者に小売りする事業に力を入れている。買い取りが主なビジネスだった時は、営業担当者が顧客と話す内容は、査定と買い取り価格に集中していた。小売りに力を入れている今は、多種多様なニーズを持つ顧客といろいろな会話ができなければならない。コミュニケーション手段も多彩になっている。

 CIO(最高情報責任者)に相当する許哲執行役員開発ディビジョンは「車は購入までに時間がかかる商品なので、お客様がストレスを感じずに当社とコミュニケーションできる環境を構築しなければならない」と考えている。そのうえ電子メールでのやり取りを好む顧客や、スマートフォンなどの携帯情報端末に詳しい顧客も増えてきた。そうなれば「現場の情報リテラシーをもっと高めなければ駄目だ」(同)。

 そこで許執行役員はまず、経営幹部からコミュニケーション手段を変えようとしている。羽鳥兼市代表取締役会長や同社に2人いる社長など幹部20人に米アップルのiPhone(アイフォーン)を配布。トップ自らが変わることで、現場のリテラシーが上がることを期待する。

 小売りの現場にはいち早くiPad(アイパッド)も導入し、既に都内で営業活動に使い始めている(関連記事)。「車を直感的にアピールできるiPadは、画像を使った中古車の販売にも向いている。使わない手はない」(同)。

 2009年4月には社内で「クラウドプロジェクト」を立ち上げ、同年11月から2000人を超える全社員が、米グーグルのクラウドサービス「グーグルアップス(Google Apps)」の利用を開始した。電子メールやカレンダーなどの機能を小売りの最前線にいる店頭の営業担当者も日常的に使い始めている。

 許執行役員は「いち早く、新しいコミュニケーションの流れに乗りたい」と話す。それが顧客との距離感を縮める有効な手段だと見ている。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・コスト削減効果の説明は当たり前です。あとは、いかにコア事業への貢献が期待できるか。それを点ではなく、線から面へとつなげて、ストーリーとして伝えるように心がけています。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・最先端のテクノロジーとそれを活用する現場のアナログ的な部分をしっかりと融合させて、提案をいただければと思います。スモールインで投資対効果が求められるなかでの最適なソリューションを期待しています。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経情報ストラテジー
・クーリエ ジャポン

◆最近読んだお薦めの本
・『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』(楠木建著、東洋経済新報社)
・『目に見えない資本主義』(田坂広志著、東洋経済新報社)
・『スティーブ・ジョブズの流儀』(リーアンダー・ケイニー著、ランダムハウス講談社)
・『ローマから日本が見える』(塩野七生著、集英社文庫)

◆仕事に役立つお薦めのインターネットサイト
WIRED VISION
TechCrunch
Twitter

◆ストレス解消法
・ジョギング
・旅行