縦画面の扱い、搭載フォントなどが要注意ポイント

 Androidアプリ情報サイト「アンドロイダー」の百名覚氏は、IS01/LYNX向けに1000本以上のAndroidアプリを検証した成果をもとに、Androidアプリ開発上の留意点を報告した。

 IS01/LYNXでは、「設定」アプリの画面で「画面の向き」にチェックを入れることで、ディスプレイを縦に持ったとき、縦長画面(ポートレート)のアプリを意図通りに表示することができる。ただし、この状態でキーボードから入力するのは難しい。縦画面でなければ入力できないアプリもあるが、横画面からも入力できるようにした方がよい、という。IS01をはじめ横位置の画面モードを多用する機種への対応が可能となるためである。

 IS01/LYNXでは、従来のAndroidスマートフォンとは異なる日本語フォントを搭載する。このため表示は美しいが、文字間隔が異なる場合がある。「ぎりぎりのサイズで設計されたアプリやウィジェットでは、意図しない場所で改行されてしまう場合があり、要注意」(百名氏)だ。また、エミュレータには搭載するフォントが含まれないことから、正しく表示されているかどうかを検証するには実機を使う必要がある。

 IS01とLYNXでは、細かな違いがある。例えば、通信事業者が異なることから、IMEI(端末識別番号)の命名規則が異なる。IS01はアルファベットを含むが、LYNXは数字だけから成る。例えばIMEIをコンテンツの暗号化に使うような場合、数字だけのIMEIを前提としているアプリは、IS01では正常に動作しないおそれがある。百名氏は、このように実践的なノウハウを参加者に紹介した。

 質疑応答は活発で、集まった開発者からは、様々な質問が飛んだ。「標準APIを拡張した機能群が継続的にサポートされるのかどうか」との質問には、シャープは「今後の機種でもサポートしていくつもり」と回答。「Froyo(Android 2.2)への移行はあるのか」との質問には「Froyoも載せていきたい」との回答があった。

 またイベントでは、実機に触れてアプリのインストールなどを行う「タッチ&トライ」に2時間半以上を割いた。参加者らは、自作のアプリがIS01/LYNXで正常に動作するかどうかなどを熱心にチェックしていた。

 端末の開発者と、アプリの開発者が、このような形で直接交流ができる機会は珍しい。「アプリ開発者から生の声を聞くことができた。やはり、聞いてみないと分からないことはある」とシャープの白石氏は、フェイストゥフェイスでの対話の成果を実感する。ここでの意見交換は、今後の端末の開発や、開発者サポートに生かされていくことだろう。

星 暁雄(ほし あきお)
コモンズ・メディア株式会社 代表取締役
星 暁雄(ほし あきお)ITジャーナリスト。メディア・アーキテクト&アドバイザー。ジャーナリストとしてイノベーティブなソフトウエア全般に関心を持つ。これから求められる新たなメディアのアーキテクチャの構築を志している。新たなメディア・コンテナに求められる機能の一つを実現したインターネット・サービス コモンズ・マーカーを開発、公開している。