多数の仮想サーバーを集約する仮想環境では、信頼性、拡張性、運用管理のしやすさといった点から、ストレージはサーバー・マシンに内蔵するのではなく、外部にストレージを置く方法が一般的である。ストレージとの接続方法としては、主に(1)iSCSI、(2)NFS、(3)ファイバーチャネル(FC)、(4)FCoE---の4種類がある(図1)。

図1●ストレージを接続するための4手法
図1●ストレージを接続するための4手法
仮想環境では、外部ストレージを用意することが一般的である。物理サーバーとストレージを接続する主な方法としては、4種類の手法が挙げられる。
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 先行ユーザーの事例を見ると、このうち多いのは、iSCSIとFCである。iSCSIのメリットは安価なイーサネットを使って外部ストレージを接続でき、低コストで構築できる点。FCのメリットは過去の資産やノウハウを生かせる点である。

 石川県を中心にASP事業を展開するフーズネクストは、XenServerベースで仮想環境を構築しており、ストレージにはiSCSIを採用している。「コストが安いので選択した」(同社システム開発部の吉本知徳氏)と説明する。TCP/IPベースで同様に低コストで構築できる選択肢としてNFSもあるが、同社はNFSを評価したところ「遅かったので、仮想環境のストレージにはせず、ファイルの置き場所に活用している」(同氏)という。

 一方、アステラス製薬では、「過去の資産を生かすために2001年に導入したFCをそのまま使った」(同社の塩谷昭宏・コーポレートIT部インフラグループ課長)。2001年当時は、1Gビット/秒のギガイーサネットに比べて、4Gビット/秒のFCが圧倒的に速かったため、FCを選択したという。ただし、今後ストレージの容量を拡大する際には、iSCSIも視野に入れたいとしている。

 現時点では、仮想環境向けの外部ストレージ接続の手段としては、iSCSIとFCのいずれかを選択するのが現実的な解と言えそうだ。