■「USBメモリのセキュリティ」は、USBメモリーをパソコンから取り外すだけで自動的にロックされ、データを安全に保護できるセキュリティツールである。
■USBメモリーを取り外す際にうっかり忘れがちなデータの保護・暗号化作業を自動的に実行してくれる点が便利である。

■ソフト名 USBメモリのセキュリティ(バージョン3.0.1)
Win7VistaXP200020082003
日本語
■開発 カシューシステムデザイン社
■URL http://kashu-sd.co.jp/(ダウンロードはVectorのサイトから)
■ファイル usbenter_3.0.1.zip(1,211,337バイト)
■対応OS Windows 7/Vista/XP/2000/2003/2008(64ビット版でも使用可能)
■価格 無料(ただし、無料版は使用できるUSBメモリーの最大容量が4Gバイトまでとなる)
■評価
(5段階)
★★★★☆

 比較的低価格で入手できることもあり、最近は気軽にデータを持ち歩く記憶媒体として大容量のUSBメモリーが普及している。だが、その手軽さが逆に災いし、USBメモリーからのデータ漏えいやウィルス感染などの事故に遭うトラブルが後を絶たない。このうち、ウィルスやスパイウエアなどの被害に関しては、対策ツールの利用や、USBメモリーからの自動起動の禁止といった対抗策を講ずることが大切で、こうした対策とっているケースが多いだろう。

データの暗号化はUSBメモリーにとって必須

 だが、USBメモリーからのデータ漏えいに関しては、問題の根が深いだけでなく、外部に漏えいした際の影響も大きい。このような事故を防ぐため、最近はUSBメモリーに保存したデータを暗号化するといった手段で保護するケースが増えてきた。市販のUSBメモリーにも、当初からそのようなセキュリティツールがバンドルされていることが多くなってきている。

 市販ソフトやシェアウエア/フリーソフトを問わず、データを手軽に暗号化できるツールは非常に数多く公開されている。どのツールを利用しても、きちんと使用しさえすれば、一定以上のセキュリティが保てるはずだ。USBメモリーなどの外部接続記憶媒体を使用するのであれば、こうした暗号化ツールなどのソフトウエアによる対応策をとることは、ユーザーにとっての最低限のルールの1つとなってきている。

 このような暗号化ツールは、多くの場合「手軽に暗号化、簡単に復号化」という特徴を強調している。確かに、これらのツールをインストールすれば、暗号化や復号化のパスワードをきちんと管理している限りにおいては、データを保護することが非常に容易だ。だが、実際に使用していく上では、実は大きな問題がある。暗号化されたデータを外出先などでいったん復号化した際に、作業が終了してから再び「暗号化して保護する」という操作を実行し忘れることがあるのだ。

取り外す前に再暗号化を怠る危険がある

 たとえば外出先でUSBメモリーなどを使用して、コンピュータから外す際に再度暗号化することをうっかり忘れてしまったり、再暗号化の手間を惜しんでそのまま取り外してしまうようなケースだ。場合によっては、客先にコンピュータに装着したまま、うっかり取り外すのを忘れてしまって帰宅する、というような状況もありうるかもしれない。

 改めて考えると、こうした状況はUSBメモリーに保存されているデータが一切保護されていない非常に危険な事態である。運悪く帰宅途中で荷物を忘れたり、落としたり、あるいは盗難に遭ったりする、といったトラブルに見舞われてしまったら、USBメモリーからデータが漏えいする危険性が大きくなる。

 データを再度暗号化して保護することを忘れてしまう、あるいはその手間を惜しむ、といったユーザーの誤った使用方法が根本的な問題なのだが、多くの暗号化ツールの基本的な「仕様」として再暗号化の操作を実行する必要があるという点がトラブルの潜在的な要因となっているといえるだろう。できれば、USBメモリーなどの記録媒体をコンピュータから取り外す際、あるいは暗号化されたファイルを使い終わった時点で、自動的に暗号化、あるいはロックされるといった手段で、データが保護されるのが望ましい。