Android Application Award(A3) 2010 Spring優秀賞を受賞した「待ちぴったん」(ANALOG TWELVEが開発)は、待ち合わせの時間を楽しくすることを狙ったAndroidアプリである。

「待ちぴったん」のメニュー画面
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互いの中間地点にある待ち合わせ場所候補を提示
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 「スマートフォンを持っている2人が出会う」までには何が起こるだろうか──そんなことを想像しながらこのアプリを操作していると、なかなか楽しめる。2人の現在位置をリアルタイムで取得し、中間地点にある飲食店を検索して待ち合わせ場所を決める。待ち合わせ場所までの経路を地図上に表示する。メッセージを伝える。状況の変化をメッセージで伝える。待っている時間を楽しむ音楽やビデオなどのコンテンツを提供する。こうしたアイデアがこのアプリには盛り込まれている。

待ち合わせ相手にメッセージを送る
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待ち合わせ場所の近くにあるお店を表示
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 審査員の林哲史 日経BP社コンピュータ・ネットワーク局長補佐は「恋人同士がライブで待ち合わせする様子を画面上で見ることができれば、心が浮き立つ」とこのアプリを評価した。

 アプリが提供する各種機能は、インターネット上で公開されているサービスをマッシュアップして作られている。地図表示は「Google Maps」、メッセージは「Google Talk」、周辺検索は「ぐるなびWebサービス」「ホットペッパーWebサービス」、それに「ランドマーク(Yahoo! JAPAN Webサービス)」を組み合わせている。待ち時間を楽しむためのコンテンツは「YouTube」だ。

 ANALOG TWELVEでは、今後の機能強化として3人以上で待ち合わせをする機能も検討している。大勢のグループが、スマートフォン片手に集合するような使い方も楽しそうだ。多少のハプニングやドタバタも楽しめる状況で使ってみたいアプリである。

作者に聞く
ANALOG TWELVE 取締役 創業者 内山英俊氏
待ちぴったん開発チーム(左から内山英俊氏、内嶋教人氏)と、審査員の日経BP社の林哲史 コンピュータ・ネットワーク局長補佐(右)[撮影:菊池くらげ]
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アプリ開発のきっかけは。

 「スマートフォンが世界の携帯市場を大きく変える」と確信していたことが、起業した1つのきっかけでした。2008年の創業当時はiPhoneが騒がれていましたが、プラットフォームがオープンであるAndroidに着目し、その特徴をフルに生かしたアプリを開発しようと思いました。当初は展示会向けのコンセプトアプリだったのですが、ユーザーや端末メーカーの強い要望を受けてニーズを確信し、正式なアプリとしてリリースしました。

開発にあたって苦心された点は。

 Androidの特徴をフルに生かすといっても、何を開発するかは多くの案がありました。せっかくやるのであれば、ほぼ全てをマッシュアップで作ってみようということになり「アプリのロジックは最小限に、しかし『ここまでやるか』とユーザーに思ってもらえるくらいまで便利に、そして楽しくする」という方針で開発しました。

 2009年時点ではGPSの精度が高い端末がなく、うまく待ち合わせができなかったりしました。また、自分の位置情報というセンシティブな情報を互いに教え合うためにはユーザーからどういう了承を取ればよいのか、といった点でずいぶんと試行錯誤をしながら作ってきました。

 しかし最後は、「待ち合わせはここまで楽しめる」という一種のサプライズをユーザーにお届けできるところまで実現できたと自負しています。

ユーザーへのメッセージを。

 まだまだ開発途中ではありますが、今後も使い勝手や機能を拡充していく予定です。

 通常はつまらない(時にはケンカになってしまう)待ち合わせを、待ちぴったんを使うことでむしろ楽しんでもらえるとうれしいです。今後も「これいいね!」と思っていただけるようなアプリをどんどん開発していきますので、お楽しみに。