Android Application Award 2010 Springのグローバル賞を受賞した「PICT RHYTHM」(テックファームが開発)は、簡易版のVJ(ビデオ・ジョッキー)作品を制作できるAndroidアプリだ。写真と音楽を選び、写真を切り替えるリズムや、切り換えの効果を指定する。面白いのはスマートフォン上だけで映像作品の制作が完結するところだ。

写真●PICT RHYTHM
右上にある素材画像を指でタッチして動かし、画面下にあるタイムラインに配置する
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 映像、音楽は、言語の壁を越えるコミュニケーション手段だ。PICT RHYTHMは、世界で活躍できる可能性を評価されて「グローバル賞」を受賞した。ターゲット機種であるXperiaの機能を引き出している点も評価対象となった。4インチと大きな画面サイズ、マルチタスクや画像切り換えの効果に必要なCPU能力、それに音楽プレイヤーとしての機能を引き出している。

 通常、VJではビデオ(動画)を素材に使う。このアプリでは、写真(静止画像)と音楽を同期させ、作品を作る。アプリの名称「PICT RHYTHM」に表れているように、リズムの機能にはこだわりがある。画像切り替えのテンポを1拍刻みで細かく指定できる。さらに、ボタンをタッチするとテンポを2倍速、4倍速に切り換える「ブースト機能」があり、作品に緩急を付けることができる。画像のトランジション(切り換え)の効果として、「CUT」「FADE IN」「CIRCLE」「WIPE」「SLIDE」「WHITE」「BLACK」、それに各種効果がランダムに出現する「RANDOM」を選ぶことができる。

写真●画像切り換え効果ボタン
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 PICT RHYTHMの使い道は人それぞれだろう。音楽のビートと画像トランジションの効果をうまく使うと、クラブで流れるVJ風の刺激的な作品を仕上げることが可能だ。また、結婚式で流される紹介ビデオ風のスライドショー作品を作ることも、旅先の写真にBGMを付けて旅行記を作ることもできる。画像選びと選曲のセンス次第で、バリエーションに富んだ作品を作れそうだ。

 作者によれば、制作した作品を録画する機能、共有する機能など、やりたいことはまだまだ残っているという。PICT RYTHMのこれからの進化が楽しみだ。

作者に聞く
テックファーム プロフェッショナルサービス事業部
ITプロモーション部部長 矢吹通康氏
テックファームのPICT RHYTHM開発チーム(左から2番目が矢吹通康氏、3番目が長谷川慶太郎氏、4番目が永岡真也氏)と、審査員のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 小林弘明氏(左端)、Abbas Sumar氏(右端)[撮影:菊池くらげ]
テックファームのPICT RHYTHM開発チーム(左から2番目が矢吹通康氏、3番目が長谷川慶太郎氏、4番目が永岡真也氏)と、審査員のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 小林弘明氏(左端)、Abbas Sumar氏(右端)[撮影:菊池くらげ]
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アプリ開発のきっかけは。

 音楽や映像、写真などマルチメディア系のAndroidアプリはまだ少ないので、この市場にいち早く参入するチャンスだと思いました。そこで知人にVJアーティストを紹介してもらい、彼と話をしているうちに、アプリのイメージが出来上がっていきました。

開発にあたって苦心した点は。

 ユーザー・インタフェース(UI)の設計には苦労しました。今までにないアプリを作るには、ユーザーに未知の設計思想を理解してもらう必要があります。それをどうUI画面を通して表現し、わかってもらうかが、難しいところでした。そこで画面と同じ大きさの紙に設計を書き込み、何度も試行錯誤してUIを作り上げていきました。

ユーザーへのメッセージを。

 ぜひ自分の作品を作ってみてください。一度作品を作ってみれば、アプリの面白さ、可能性を感じていただけると思います。PICT RYTHMはこれからもバージョンアップしていきます。ご要望やご意見などお気軽にお寄せください。