Android Application Award 2010 Springの学生賞を受賞した「通話履歴カレンダー」は、Android搭載スマートフォンの「通話履歴」をカレンダーに保存するアプリケーションだ。Androidの標準カレンダー・アプリの上で、電話をかけた、あるいは受けた時間、場所、相手の電話番号、名前(「連絡先」に名前を登録していれば)、などの情報を一覧できる。
アプリの機能はシンプルだが、標準のカレンダーに保存する点が重要だ。「Google Sync」と組み合わせることで威力を発揮する。Androidスマートフォンのカレンダーは、「Google Sync」によりインターネット上のサービス「Googleカレンダー」と同期できるのだが、これにより「通話履歴」データをさまざまな形で利用できるようになる。
設定はごく簡単だ。「設定」アプリを開き、「データの同期」から「Google Sync」を選択し、「カレンダー」にチェックを付ければいい(Android 1.6搭載Xperiaの場合)。同期設定をすれば、PCの大きな画面上で通話履歴をGoogleカレンダーで閲覧したり、他のAndroidスマートフォンや、iPhoneでも閲覧することができるようになる。カレンダーに記録された位置情報をクリックしてGoogle Mapアプリを開き、電話をかけた場所や受けた場所を確認することも可能だ。
このアプリを活用すると、通話履歴を軸にAndroidとGoogleのサービス群が連携し、自分の活動記録をフル活用できる。携帯電話機が強力なライフログ・ツールとなるのだ。これは、Androidの可能性の一端を示している。作者のJoao Orui(ジョン・オオルイ)氏によれば「自分で欲しいと思っていた」機能を実装したものだそうである。Orui氏は筑波大学で情報工学を専攻する大学院生。Orui氏の今後の作品が楽しみだ。
コンピュータサイエンス専攻 Joao Orui氏
アプリ開発のきっかけは。
NTTドコモのAndroid携帯「HT-03A」を利用していた際、通話履歴の件数が多くなると電話アプリの通話履歴の起動時間が長くなることを不便に感じていました。これを改善できないだろうかと考え、通話履歴の件数を一定に保つアプリ「Call Log Trimmer」を開発しました。起動を速くするためには、通話履歴件数を少なく抑えることが必要ですが、それでは過去の通話履歴を削除しなければなりません。そこで、過去の通話履歴をカレンダーに保存できれば過去の通話履歴も確認できると思いました。これが「通話履歴カレンダー」の開発を始めたきっかけでした。
開発にあたって苦心した点は。
通話履歴とカレンダーの両方にアクセスする必要があるため、アプリケーションが複雑になり、品質を上げるのに苦心しました。具体的には、カレンダーイベントの二重登録を防ぐ対策や、どちらか一方のデータにアクセス出来ない場合の異常処理が難しかったです。
また、複数のAndroid端末で問題なく動作するようにすることも大変でした。公開直後はユーザーからバグ報告を受けて、同じ環境が手元にない状況でバグフィックスを試みていました。現在は、アプリが強制終了した場合、不具合の報告を利用者の許可を得て送信してもらうようにしています。
ユーザーへのメッセージを。
多くの方に「通話履歴カレンダー」を利用していただき、とても嬉しいです!ユーザーから多くのフィードバックをもらい、開発の励みになっています。これからアプリを使われる皆さんと一緒に、さらに「通話履歴カレンダー」を良くしていけたらと思います。